学校の教員の働き方改革の一環で,部活動指導員の導入が始まっています。
外部人材の活用によって,確かに教員の負担は減ります。
ただ,学校に部活動の指導員を入れたことにより起こりうる問題もあります。
そして新たな問題が起こることで、結局は教員の負担が減りませんでした、ということも考えられます。
現場を見ているからこそ、起こりそうな問題について踏み込んでみます。
生徒、教員にとって不都合のない制度を考えるきっかけになればと思います。

自己紹介
部活動指導員のデメリット|外部コーチは普段の生徒を見ていない
部活動指導員の方は,その収入だけで生活ができるとは思えません。
部活動は平日は夕方の数時間の活動,土日のどちらかの活動だけになります。
(文化庁,スポーツ庁によると,平日1日,土日1日に休養日を設定することになっています。)
それだけで十分な収入を得るというは難しいと思われます。
普段,昼間はスポーツクラブでコーチをしていたり,社会人としてお仕事をされていたり,非常勤講師として学校で教科指導をしていたりするのではないかなと思います。
そこで普段は顔を合わせることのない生徒に「学校の先生」と同じ立場で指導をしなければいけないという状況になります。
教員免許を持っているかどうか,雇用形態がどのようなものかに関係なく,生徒・保護者からは「先生」と見なされます。
部活動指導員のデメリット|普段の生徒を知らずに指導すると何が起こるか?
普段から数百人という中高生とかかわる機会が多ければ,中高生の特徴を知っているかもしれません。
高校の場合,教員はクラス担任,授業,部活動指導で1年あたりのべ100人以上の生徒と何らかのかかわりがあります。
これが経験年数によって,あっという間に数百人の指導経験を持つことになります。
中高生との接点が,我が子の子育て,自分自身の学生時代など限られたものでしたら,「根性がない」「やる気がない」などと感じてしまうかもしれません。
ましてや,部活動指導員をやる方は教育に関心がある場合が多いので,理想と現実の生徒がかけ離れていると感じる方が多いかもしれません。
部活動指導員のデメリット|トラブルは就任から,しばらくして起こるかも
いわゆる先生は憧れの職業であり,最初は「どんな部員がいるんだろう」と期待に胸を膨らませて指導にあたります。
学校の教員にも「どんな生徒がいますか」などと顔合わせの時に会話をするでしょう。
部員も「コーチが来てくれる」とやる気に思うかもしれません。
最初はポジティブな気持ちで始められるでしょう。
ただ,部活動はあくまで放課後の限られた時間で活動するもの。
外部のコーチは中高生の時も自主練に励み,大学,社会人でその競技や活動に打ち込んできた人かもしれません。
だんだん,お互いの意識の差が出てしまう(実は意識の差はもともとあって,それを段々感じてしまう)ことは往々にあります。
コーチは思うように結果が出ないと,「根性が足りない」「やる気がない」などと思ってしまい,残念ながら体罰につながってしまうことも予想できます。

結局、学校の先生は外部指導員と連携業務から抜け出せない
だから,結局は日中の生徒の様子,生徒のご家庭での様子の情報を持っている学校の教員との連携は必要になるのです。
部活動を学校の教育活動という位置づけを変えない限り,この連携は必要になります。
週に数回は顧問が練習の様子を見に行って,無理がないか確認したり,定期試験や学校行事で生徒が忙しくなったり,学力面,体調面,ご家庭のことで配慮の必要な生徒ことも情報共有が必要でしょう。
学校の教員としては,活動中にずっといなければいけないという負担は減ると思います。
ただ,部活のことをバッサリ考えなくてもよいということではないので,頭の中の仕事量は残ったままなのかなと思います。
技術指導以外に仕事があるの?と思う人はぜひ読んでほしい!
強豪校以外での指導は部活動を「真面目なレクリエーション」ととらえることも大切
部活動指導員の方はある程度割り切って,技術指導をするという考えはひとまず置いておいてもよいかもしれません。
「生徒が自分の意志で加入した部活動に責任を持って参加させる」「礼儀やマナーを教える」などと競技や活動を通して,人を育てるイメージが良いと思います。
ダラダラ活動させないと言った意味では勝つこと,技術の向上を目標にさせますが,最終目標ではないととらえるとよいでしょう。
コロナ禍ではこんな風に部活が変わりました。
部活動を学校から切り離して,地域枠で面倒を見る案について
部活動を学校から切り離し,地域枠で面倒を見ようという案を聞きます。
部活をやりたい生徒は放課後になったら,それぞれ地域で指定している練習場所に行きます。
サッカーをやりたい人はA校に集まって練習,テニスをやりたい人はB校,といった具合です。
本来なら,ここで指導員は教員以外の人(または志願したい教員)が担当することで,部活動を学校や教員から切り離すはずでした。
しかし,どうも外部の人に頼む予算がなかったり,人材がいなかったりして,結局は学校の教員に正式なボランティアとして要請されそうな噂があります。
この件については,今後の動向を見ていきたいですね。
部活をやると領収書を作ることもあるでしょう。
時短できる方法を紹介します。
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