高校受験の時に公立・私立の学費を比べることはありますが,私立間の学費を比べることはあまりないのでしょうか。
我が子が受けたいと言えば,それを応援する形で話を進めるのが一般的かと思います。
その反面,親としてはお金がどれくらいかかるか気になるものです。
今回は修学旅行の費用とその内訳について書いてみたいと思います。

自己紹介
世帯収入により,公立は授業料が無償化になる場合があります。
同様に,私立も世帯収入により,就学支援金制度により授業料の負担が軽くなる場合があります。
詳しくは文部科学省の高等学校等就学支援金制度や東京都私学財団の私立高等学校等授業料軽減助成金事業(都内にお住まいの方)をご覧ください。
ただ,修学旅行,遠足,教材費,放課後講習,夏期講習,冬期講習,部活の活動費・合宿費・ユニフォーム代などは別にかかります。
また,施設維持費,生徒会費(部活動や生徒会活動にかかわる出費のためのお金),図書費,実験費などもあります。
学校への支払いではありませんが,定期代,昼食代,制服代,学校ジャージ代,上履き代などいろいろかかります。
私立高校は授業料の面では負担が軽くなる場合もありますが,それ以外の費用は家庭の負担になりますので,確認をして受験すると良いかもしれません。
修学旅行の費用
他のサイトからの引用になりますが,高校の修学旅行の費用の平均は国公立で87,654円,私立で113,142円だそうです。
さらに,行き先が海外の場合は200,705円とのことです。
公立が安いのは決して補助金が出ているからという訳ではありません。
日程を短くしたり,食事の単価を落としたりして単純に安くしていると考えられます。
公立はその名の通り「おおやけ」の学校なので,いろいろな家庭の生徒を預かることを想定しています。
それゆえ,修学旅行の費用もそこまで高くはできません。
私立はその点,行きすぎない配慮をしながらも独自の方針を打ち出すことができます。
価格帯を高めに設定して,様々なアクティビティを入れ込んだり,自分の荷物の運搬が少しだけ楽にしたりすることができます。
個人旅行と比べると,「もっと安いツアーがあるのに・・・」と感じるかもしれません。
次の項目では考えられる内訳について考えてみます。
教員から見た修学旅行の費用の内訳
あくまで旅行社の営業ではなく教員の目線ですが,こういうところにお金がかかっているなと感じるところを書いてみます。
新幹線,飛行機などの交通費
JRや飛行機は修学旅行向けの運賃制度があります。
それでも例えば東京と沖縄の往復で5万円前後はかかります。
ANAのサイトを見ると4月,5月は修学旅行を実施する学校が少ないためか料金設定が安めでした。
4月,5月の実施が少ないことは下の記事も参考にしていただければと思います。


宿泊費
宿泊費は個人旅行なら「夜も外で観光するので部屋が多少狭くても我慢しよう」であったり,「朝食は外で食べればいいから,朝食抜きプランにしよう」と調整することができます。
団体旅行はそうは行きません。
夜や早朝に勝手に外を歩かれて事故にあったら責任問題になりますし,一般の人に迷惑をかけても対応するのが学校側になります。
そうなると,朝食会場としてある程度の広さの宴会場がある宿泊施設を利用することになります。
すると,宿泊費も高めのホテルになってしまいます。
その土地の相場にもよりますが,1泊あたり15,000円前後になることが多いのではないでしょうか。
海外の場合は1泊20,000円越えも珍しくないです。
修学旅行の費用を抑えづらい原因の一つとなっています。
食事代
ホテルの朝食でも触れましたが,基本的に修学旅行では朝・昼・晩の3食がつきます。
個人旅行では昼と夜がつかないことが多いのではないでしょうか。
費用を抑えるなら朝食抜きプランもあります。
この辺りが組み込まれているか否かも個人旅行との差になります。

バス・バスガイド
修学旅行は基本,バス移動になります。
自由行動の時間を除いて,電車を使って○○まで一緒に移動するということはありません。
もし,集団で在来線を使えばたちまちクレームを入れられてしまいます。
また,個人旅行ではスーツケースを空港からホテルにガラガラ転がして行くということができますが,何十人という人が列を作ってそんなことをしたら迷惑になってしまいます。
荷物を運ぶという点でもバス移動が理にかなっているのです。
また,旅行社の添乗員もクラスに1人をつける予算がないので,クラス単位でバスを降りた後に移動する際は,現地のバスガイドさんが先導します。
バスガイドというとバスの車内で車窓から見える風景やその土地にまつわる案内をしてくれます。
しかし、修学旅行ではバスを降りた後の道案内も(というかむしろこちらの方が)大事な役割となっています。
個人旅行は自由に動けます!
でも団体旅行の方がメリットになることもあります。
現地の入場料
全員で入る入場料も費用に組み込まれています。
ちなみに,自由行動の日を増やせば修学旅行で事前に徴収する金額は抑えられます。
見かけ上は安くすることができますが,交通費,食費,入場料等を個人負担になってしまいます。
生徒はいわゆる有名な観光地での自由行動が長い方が楽しいと思うので,バランスを考えながら行程を考えています。

写真屋さんの派遣費
学校として別に予算組をしているところもあるかもしれませんが,写真屋さんの旅費と派遣費もかかってきます。
「今時,スナップ写真なんて買わないから・・・」と思うかもしれません。
実は写真屋さんに来てもらうはスナップ写真や集合写真のためだけではありません。
卒業アルバムの素材集めでもあります。
もしかしたら遠くない未来に卒業アルバムというものを作らない学校が増えてくるかもしれません。
今のところ,卒業文集は制作しなくても,卒業アルバムは作る学校が多いと思われます。
看護師の派遣費
100人,200人を連れて旅行をしていて,体調不良者がゼロということは経験したことがありません。
海に行って砂浜で足を切った,頭痛がする,熱が出た,女の子で生理がきた,アレルギー食材に気づかず食べてしまったなど,いろいろです。
普段は親御さんが目を配れるかもしれませんが,修学旅行では子供も自分のことは全て自分でやることになります。
担任は30〜40人の子供を連れているので,なかなか細かいところまで気づけないこともあります。
こういった健康上のトラブルは起きてしまうものなので,看護師の旅費,派遣費は必要になります。

企画料・添乗費用
旅行社に支払う企画料,添乗費用もあります。
修学旅行は2年前くらいからいわゆるオーダーメイドで準備を初めています。
オーダーメイドゆえどうしても企画料がかかってしまいます。
修学旅行を企画するのに最初に行う準備です!
また出発から解散まで通しで添乗する方の旅費,派遣費用がかかります。
旅行保険
何かあった時のために学校行事は例え日帰りの遠足でも保険をかけます。
海外の場合は,キャッシュレス・メディカルサービスといって指定された病院なら持ち出し金を払わずに保険会社から直接,治療費が支払われるサービスもあります。
できればこのサービスを使えた方がいいですね。

しおり作成費用
しおりを自前で印刷する学校はかからないかもしれません。
しかし、きちんと製本をしたり,旅行社によっては原稿を作成したり,チェックしたりするのに,企画料以外に費用を請求されることもあるかもしれません。
教員の引率費用
もちろん教員の分の旅費も学校負担になります。
これは学校が別に予算を確保している可能性もあるので,必ずしも参加者で割るとは限りません。
修学旅行となると,朝6時から夜22時ごろまでが休憩時間なく勤務時間になります。
夜中にトラブルがあれば寝ないで対応になります。
私立であっても8時間以上の勤務について,残業代を満額つけるお金はないので,1日数千円の宿泊引率手当のようなものが出る学校があります。
もしかしたら全くでない学校もあるかもしれません。
これは修学旅行費からということは考えにくく,通常の給与のお財布から出ると思われます。
子供の時は絶対に気づかない笑
修学旅行の裏側です。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ざっと思いつく限り書いてみました。
細かくみていくと,それくらいかかるのかなと感じていただけましたでしょうか。
それぞれ,「これはいらないでしょう」と思う項目もあるかと思いますが,そこをカスタマイズできないのが団体旅行。
ちょっと高いけれども,行ってよかったと子供自身が思えればいいなと思います。
修学旅行の下見は遊びではないですよ~。
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