学校では英語は5種類の形に分かれるので,5つだけマスターすれば大丈夫だ!などと教えられることがしばしばあります。
学習者にとっては「5つだけ」と聞くと,「これならできそう!」って思うのでモチベーションアップが期待できそうです。
ただ,実際に5文型を習った後も,英語がわからないということは多々あります。
今回は英語の文型についてお話していきます。
ちなみに何か新しい理論の提示ではありませんので,ご了承ください。
自己紹介
- 中学校,高校で英語が得意な人!
- 5文型はわかるけど,例外があるんじゃない?!と思っている。
学校で習う英語の5文型は単純に5つのカテゴリーに分けただけの話
言葉というものを説明する際に「色」に例えたりします。
虹は何色でしょうか。
日本に住んでいると虹は7色と習うこと多いです。
ただ,そうでもない国もあるようです。
7色 日本・オランダ・イタリア・韓国
光と色とTHE NEXT 世界各国で虹の色の数は何色(なんしょく)と認識さているのか
6色 アメリカ・イギリス
5色 ドイツ・フランス・中国・メキシコ
4色 ロシア・インドネシア
細かい区切り方は引用元に譲りますが,日本では青と藍を2色とカウントしています。
しかし、青としかカウントしなければ1色減ります。
もちろん国や文化によって見える虹の色が違うということはありません。
5文型というのは,世の中の英文を5つ型にはめた考え方です。
だから,細かいところであれ?!となることがあるのです。
英語の5文型のおさらい
5文型の話をするにあたり,簡単に説明しておきます。
文型 | 例文 |
SV | The door opened.(ドアが開いた) |
SVC | Tadpoles become frogs.(オタマジャクシはカエルになる) Time is up. Put your pencils down.(時間です。鉛筆を置きなさい) 下線はウェブサイト管理者によるもの。 |
SVO | Someone opened the door.(誰かがドアを開けた) |
SVOO | I gave the boy a paper plane.(その子に紙飛行機をあげました) |
SVOC | We call our dog Luna.(我が家の犬をルナと呼んでいます) He thinks himself an able accountant.(彼は自分を有能な会計士だと思っている) |
主語(S)になれる品詞は名詞,目的語(O)になれる品詞は名詞,補語(C)になれる品詞は名詞と形容詞です。
動詞は自動詞と他動詞にわかれて,自動詞は目的語を取らないSV,SVCのどちらかになり,他動詞はSVO,SVOO,SVOCのいずれかになります。
副詞はS・V・O・Cのいずれにもなれず,修飾語(M)と付加的なものに分類されます。
ちなみに前置詞は名詞とセットになり,形容詞か副詞の扱いになります。
これが中高で学ぶ5文型です。
英語の5文型で困ってしまうこと〜Mの見分け方〜
単語を覚えるときに品詞も確認しておけば,英作文をする際に語順を間違えることは少ないという利点はあります。
ただ問題点もあります。
John live in London.(ジョンは,ロンドンに住んでいる)
安藤(2008:10)
この文はJohnが主語,liveが動詞,in Londonは副詞で修飾語となっています。
学校の5文型の理論では,修飾語の副詞(=M)はなくてもよいはずです。
ただそんなわけありません。
*John lives.(*ジョンは住んでいる)
安藤(2008:10)
例文の前についている*(アスタリスク)は非文(誤った英文)であることを示しています。
また,以下の英文でも場所を表す副詞が必須であることがわかります。
Roy put the car in the garage.(ロイは車をガレージに入れた)
安藤(2008:10)
*Roy put the car.(*ロイは車を入れた)
putは目的語の後ろに場所を表す副詞を必ずおかなければいけません。
putを辞書でひくとこういった細かいことも書かれています。
ただ単純に「置いた」と言いたいときも以下のようにdownを使います。
Put your pencils down.(鉛筆を置きなさい)
江川(19913:187)
学校文法でこの困った矛盾をどう解決しているか
中高で文型を教える際にどのようにこの問題を解決しているか。
答えは熟語や語法という別の形で個々に覚えてね,としています。
liveだったら,”live in”でセットにして覚えてねと言います。
“put O 場所を表す副詞”は副詞の部分がいろいろな形になるので,英文を見るたびや,例文を示して伝えています。
あとで,5つより多い分類も触れますが,結局は個々の動詞,形容詞,副詞などの使い方によって文型を振り分けていきます。
そう思うと最初は詰め込め過ぎず,5つを勉強するのが効率的かもしれません。
英語の他の文型
8文型
文型 | 例文 |
SV型 | The sun rose.(太陽が昇った) |
SVC型 | John is a teacher.(ジョンは教師だ) I was happy.(私はうれしかった) |
SVO型 | I like apples.(私はリンゴが好きだ) |
SVOO型 | Bill gave Sally a book.(ビルはサリーに本を与えた) |
SVOC型 | They named the baby Kate.(彼らは赤ちゃんをケートと名づけた) |
SVA型 | Mary is here / in the garden.(メアリーはここに/庭にいる) *Mary is.(*メアリーはいる) |
SVCA型 | John is very fond of cats.(ジョンはネコが大好きだ) *John is very fond.(ジョンは大好きだ) |
SVOA型 | He put the key in his pocket.(彼はポケットに鍵を入れた) *He put the key.(*鍵を入れた) |
be動詞は”C”や”A”がない状態ではまず使えません。
fondという形容詞もbe fond ofという熟語で習うように,of以下がなければだめです。
putについては前述したとおりです。
最後の3つで出てくる“A”は副詞です。
5文型では不必要とひとくくりにされてしまいますが,なければ文が成り立たない副詞もあります。
この扱いが厄介で,「ある場合はAがあります,別の場合はAはなくても大丈夫です」と教えても,勉強し初めの人にとってはどっちがどっちか区別が難しいでしょう。
繰り返しですが,だから中高では5文型を教えて細かいことは熟語,語法などで個別に覚えてねとしているのです。
7文型
先に説明した8文型のうち,SVCとSVCAをひとまとまりにして,SVCに組み込んでいます。
Quirk et al.(1985:53ff.)で説明されており,よく引用されています。
25文型
聞いたことがありますが,25文型を意識して英語を読んだことはありません。
ここまで細かく扱うと厄介なので、参考文献だけ紹介します。
英語の5文系と他の文系のまとめ
個人的には最初に英語の語順,文型を教えるときは5文型がいいと思います。
その後,矛盾点に気づいた学生には「よく気づいたね。実は5文型には問題点があってね…」と教えてあげるのがいいと思っています。
参考文献
安藤貞雄(2008)『英語の文型』開拓社. 東京.
江川泰一郎(19913)『英文法解説』金子書房. 東京.
Quirk, R., S. Greenbaum, G. Leech and J. Svartvik(1985)A Comprehensive Grammar of the English Language. Longman, London.
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