一般受験をすると合格の権利をつなぎとめるために入学金を払わなければいけないことがあります。
分かりやすく、下の図をご覧ください。

上のパターンは、日程的に後の大学の合否が分かった後に先の大学の入学手続きとなっています。
つまり、B大学に合格していれば、A大学の合格の権利は放棄できます。
下のパターンは、日程的に後の大学の合否がわかる前に、先の大学の入学手続きをしなければいけません。
こうなると、入学金を支払わないのは一か八かとなります。
では、なぜそこまでして入学金を確保したいのかを考えてみます。

自己紹介
大学の入学金が戻ってこない理由① 新入生を逃がしたくない!
大学側が入学金を払ってもらいたい理由の一つは、新入生を逃がしたくないからです。
約25万円~30万円ほどする入学金。
簡単には支払える金額ではありません。
「入学金を払うんだったら、もう入学していいかな」
「受験勉強に疲れたし、入学金を払って受験を終わらせようかな」
そんな気持ちを持つ人もいるでしょう。
大学は経営上、年により大幅に利益を上げることが難しいです。
入学させてもよい学生数は決まっています。
「赤字気味だから定員を超過して入学させよう」ということは基本的にはできません。
在学生数によって予算が組まれます。
だから、既定の定員が集まれば通常運用ができ、集まらなければ赤字になるのが学校経営です。
もちろん貯蓄がゼロということはありません。
しかし、経営難に備えて収入を増やしておこうと準備することは、たとえ受験生がたくさん集まる大学でもなかなかできないのです。
こちらの記事にもそういった事情が書いています。
大学の入学金が戻ってこない理由② 入試・広報には経費がかかっている!
新入生を確保すること以外の理由は何でしょうか?
もう一つ考えられるのは、入試・広報にかかる経費です。
受験生の皆さんは無料でオープンキャンパスや、合同説明会に参加します。
パンフレットや募集要項も無料でもらえます。
その分の経費は大学側が負担しており、どこからか収入がないことには募集活動もできなくなります。
入学金の使途が必ずしも入試・広報のみに使われるということではありません。
しかし、入学金を確保したい一つの理由になるでしょう。
入試・広報の支出について考えてみましょう。
出願サイト利用料
最近はネット出願が増えています。
大学は業者さんに依頼して、出願、合否の告知、入学金の管理などが一括でできるシステムを利用します。

受験料収入も充当されると思いますが、足りない部分は他からお金を調達しなければいけません。
授業料収入は教育、研究活動に使われます。
施設維持費は施設の維持に使われます。
出願サイトの利用には入学金を充当するのが妥当ではないでしょうか?
入学金から入試・広報費がまかなわれると聞くと、「説明会だけ参加して受験しなかった人はお金を払っていないじゃないか!ズルい!」と思うかもしれません。
確かに、そういった意見も納得できます。
しかし、世の中はそうやって運用されているものとも思っています。
どれも稼いだor支払った人への恩恵は薄いですよね。
大学案内、募集要項、ノベルティの制作費
各種印刷物、グッズにも製作費がかかります。
大学案内は写真撮影、デザイン、校正、印刷を業者さんにお願いします。
もちろん、学内担当者と打ち合わせをしながら行います。
募集要項は写真は要らず、デザインも質素で、印刷せずにPDFでウェブに掲載するかもしれません。
それゆえ学校案内に比べれば安く作れるかもしれませんが、費用がかからないわけではないでしょう。
大学のロゴが入ったノベルティを説明会でもらうことがあります。
もちろん、グッズにもお金がかかります。
広報用動画の製作費
ウェブサイトに載せる動画を発注する大学もあるかもしれません。
広大な敷地を売りにする場合は、ドローンでの撮影をするかもしれません。
ドローンでの撮影、意外と高いんです(^^;)

ちなみに、ドローンは市街地では飛ばしてはいけない、など、細かい規定があります。
飛ばす場合は国土交通省などに申請が必要だそうです。
そういった細かい手続きもマルっと委託できると頼みやすいですよね。

また動画は編集作業もあるので、業者さんに依頼するとエディターさんの人件費もかかります。
動画制作は決して安くはない印象です。
交通費、郵送費
大学の先生や職員が合同説明会や高校に出向いてプレゼンや入試相談をすることがあります。
もちろん自腹ではないので、交通費は大学負担になります。
また、受験生、高校にパンフレットを郵送することもあるでしょう。
郵送費がかかりますね。
また、資料請求の受け付け、発送を業者さんに依頼している大学も多いです。
当然、利用料がかかります。
受験雑誌、ネットへの広告費
受験雑誌などに広告を載せれば、お金がかかります。

各種説明会の参加費・会場費
大学は様々な説明会を行っています。
大学敷地内で実施すれば施設利用料は掛かりません。
しかし、街のイベントスペース、会議室を借りると利用料がかかります。
合同説明会にも参加するために、参加費、資材の運搬費(宅配便)などがかかります。
オープンキャンパスの学生補助アルバイト代
オープンキャンパスで学生に対応をお願いすることもあります。
もちろん、無料でお願いはしません。
学生にはアルバイト代が支給されます。
予備校に依頼する分析費用
学生募集のヒントを得るために、予備校にお金を払って分析をしてもらうことがあります。
予備校は模試を実施することで、次のような情報を持っています。
より良い学生募集をするために、こういった情報を買うこともあるそうです。
ちなみに、大学側はライバル校に逃げられないような入試日程、入学手続き締切日を計画するのです。
大学職員の人件費・残業代
これまで書いたことはすべて大学職員が準備します。
業者さんに依頼することであっても、職員が窓口となり確認作業や発注作業をします。
どこまでを在学生の授業料で補うべきか線引きは難しいですが、一部入学金が使われることも納得できます。
大学の入学金が戻ってこない件のまとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
なかなか厳しい話も書きましたが、話のネタとして読んでもらえたらと思います。
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