教員が不足するのはなぜ?国、高齢者、保護者の立場で検証

学校の先生の仕事
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最近は報道で教員の労働環境改善について取り上げられることが多くなりました。

ただ,おそらく状況は変わらないのかなと悲観的に見ています。その理由について書いていきます。

こんな具体的な記事もありました

文科省の試算によれば、もし今の勤務実態に応じて残業代を支払うとしたら、年間9000億円にのぼるという。残業代を支払う必要がなく、労務管理もしなくていいという給特法の下では、コスト意識、時間意識が損なわれ、残業を減らすことが非常に困難であるのは想像に難くない。

教育現場での残業代未払い年9000億円分!~給特法について調べてみた FNNオンライン Yahooニュース

かなり負担が大きいですね!

この分を税金で補うため、国民1億3千万人で割ると、一人当たり年間約7,000円。

母数が日本の人口なので、労働人口を母数とすると、もっと税負担が多くなります。

隣の芝
隣の芝

自己紹介

  • 非常勤+専任の私立教員歴は約15年!
  • 担任は10年以上経験! 修学旅行の準備・引率、大学受験の指導経験もあり
  • 教科は英語海外への引率経験もあり
  • 校務分掌教務、進路、広報、生活指導、生徒会を経験!
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  • これだけ教員不足が叫ばれているのになぜ解決しないの?と思っている方
  • 将来は教員になってみようかなと思っている学生さん
  • 昔の先生はもっとよかった〜と思っている大人の方

教員が不足するのはなぜ?国会議員が動く道理がない。票にならないから。

今の日本は少子高齢化になっているので,高齢者向けの施策を打ち出すほうが票につながりやすいです。

また,「教員の働き方改革のために部活動を廃止します」と打ち出した場合,共働きの保護者が困ります。

子供を夕方までタダで学校に預けられたのに,それができなくなります。

現に一部,公立では活動日が減ったことでクレームが入っているという噂も聞きます。

そういった保護者からの票も獲得できなくなります。

国家予算も自分の票につながる給付金は交付するでしょう。

今まで払わずに済んでいた人たちの残業代や昇給に使うと票を失うかもしれないので,リスクがあります。

得票のことは置いておいて,財源のことを考えても,給付金など単発のものと異なり,残業代や昇給は今後ずっと続くものなので,なおさら決断が難しいでしょう。

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教員が不足するのはなぜ?高齢者,保護者の世代も積極的になる道理がない。

高齢者にとっては未来の教育より自分の年金に関心があると思います。

そりゃそうです。

自分の生活のほうが大切ですから。

保護者の世代にとっても,教員の働き方改革は家庭教育の負担が増えるかもしれないので積極的にならないでしょう。

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ゆとりのない現場にはコンプライアンス違反が起きやすい

園児をバスに残したまま死亡事故につながってしまったニュースがありました。

また体罰のニュースも時々耳にします。

もしかしたら,悪意を持って事件・事故を起こすこともあるかもしれません。

しかし,大多数は過失であったり,精神的に追い詰められていたからという事情があると思います。

現場の人間として「忙しかったから」「余裕がなかったから」という主張は認められません。

ただ,国,教育委員会などは起こっている問題をすべて現場の人間の対応に原因があると決めつけてはいけません。

・そもそも,なぜ忙しかった?余裕がなかった?
 ↓
人が少ない,すぐにやめてしまう,戦力になる人材がいない
 ↓
・それでも,安全上のオペレーションは守らなければいけない
・もっと子供に向き合ってほしい,成績をアップしてほしいという保護者,国からの声がある
 ↓
・職場内では現場の教員に比べて管理職が圧倒的に少ないので,組織としての対応をせず現場の教員まかせになる
・現場の教員はできれば子供たちのためにと思い無理をする
・無理が過失や精神的圧迫につながる
 ↓
・結果,問題の根本は解決されない

保護者の世代の人には単に子供を預けられるかどうかでなくて,突き詰めるとこういったことにもつながると考えてみてはいかがでしょうか。

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教員が不足するのはなぜ?公務員バッシングがある

まだまだ,公務員は楽で高給取りという感想をお持ちの人がいます。

個人的に公務員の方々は筆記試験,面接を突破してなられた方々なので,それなりの待遇があって当然と思います。

事務職の公務員も残業が多いらしい

知り合いの公務員に聞いたところ、事務職の公務員も部署により残業が多いらしい…。

しかも、残業代に当てられる予算が決まっているので、全額は残業代をもらえないとか…。

国会議員としてはそういった公務員を擁護しすぎると,また票を失うことになるので配慮をしつつ慎重な対応をしています。

教育公務員も同じですね。

私立の学校も給料形態は公立に似せることがあるので,教育公務員の待遇が改善されなければ私立学校を取り巻く労働環境も変わらないのではと感じています。

(教育公務員の待遇がよくなれば人がそっちに流れていくので,私立も対応せざるを得ないといった感じでしょうか)

教員が不足するのはなぜ?についてのまとめ

ということで,メディアで表面的には前向きな検討をにおわせることがありますが,なかなか道のりは通りかなと思います。

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