企業に勤めていると,営業売上などが給与やボーナスに反映されることがあります。
会社の売上に貢献した分,その社員に還元するのはモチベーションアップにつながります。
一方で事務職員などは会社の収益アップにどれだけ貢献したかわかりづらいので,年功序列になったり,部下の人数(責任が及ぶ範囲)によって給与が決まったりするかもしれません。
今回は教員の人事評価について書いていこうと思います。
あくまで私の知る範囲でのことなので公立でしたら都道府県ごとに,私立でしたら学校ごとに多かれ少なかれ異なると思います。
参考までに「へぇ〜」と思っていただければと思います。
自己紹介
昇給は原則,年功序列です
先ほどの営業職,事務職で言うと,事務職のような年功序列の昇給になります。
ただ,役職に就くことで昇給したり,毎年の昇給額を上げたりすることが目指せそうです。
役職は主幹教諭,指導教諭,主任教諭などです。
新しい役職になるには試験に合格しなければなりません。
余談になりますが,担任はいい先生がいい,いい先生に我が子の担任になってもらいたいと思う人は多いと思います。
ただ,そういった一生懸命な先生は校長からも評価されることが多いです。
評価される先生は昇進して,先生の指導役であったり,学校の全生徒に関わる学校運営に携わることが多くなります。
そこは一般企業のように優秀な人は店長,エリアマネージャーなど出世していきます。
話を元に戻すと,役職につくことで昇給あるいはその後の昇級率アップが期待できますが,ずっと教諭のままでも昇給していきます。
これは東京都人事委員会のウェブサイトでも公開されています。
私立は1校1校が一つの会社のようなものなので,役職の種類や数,優劣がバラバラです。
ただ,長く働いても給与が上がらないということはあまりなく,年功序列が基本でしょう。
なぜ年功序列になるのか
教員の仕事へのモチベーションアップにも能力給を積極的に入れた方が良いと思うかもしれません。
それを難しくしている要因を自分なりに考えてみました。
学校は収入を上げられないので支出の金額も動かせない
教員も人間なので,収入が上がると嬉しいです。
仕事のモチベーションアップにもつながるかもしれません。
ただ,その財源をどこから持ってくるか。
公立は財源が税金のため予算が決まっていて,簡単に収入を増やすことができません。
私立も敷地の広さ等を加味して定員が決められ,都道府県等に申請・認可を受けます。
つまり,仮にものすごい人気校になっても,新しい土地の取得,校舎の建設等をしなければ入学者数を増やして,学費収入をアップというわけにはいきません。
(新しい校舎を建てれば,必要な教員数も増えるので結局利益は上がらないかもしれません)
増収を見込めるものは,受験者数を増やして受験料収入を増やすことくらいかもしれません。
頑張った人は昇給させます
↓
頑張る人が増えました
↓
やっぱり予算を確保できないので昇給できません
ということになります。
学校として根本的な収入増が見込めないと,労働者(教員)に還元できる額も決まってしまいます。
となると頑張っているのに渡せるお金がないという事態になってしまいます。
それとも授業料をAコース,Bコース,Cコースなどに分けて受けられる教育の質を変えたほうがよいでしょうか。
うーん,公教育としては賛成派は少ないと思われます。
生徒の学力向上を教員の評価ができるか
塾や予備校の考え方からすると生徒の成績を上げた,難関大学の合格者数を増やしたなどが一番納得できる評価方法だと思います。
特に予備校は結果を出せる講師,生徒を集められる講師は時給を上げることがあります。
ただ,これはあくまで成績や合格率の向上が生徒を集めに役立って,塾・予備校の収入が増えたからもらえただけです。
まずあり得ませんが,全く学力が伸びなくても,その講師目当てに多くの生徒が集まってきたら,講師の給与は上がると思います。
また,予備校講師を本職としている方と異なり教員の仕事は教科指導以外の仕事が多いです。
予備校講師は体調不良や精神的に悩みを抱えている生徒の対応をしたり,体育祭や文化祭の準備をしたり,合格可能性を見比べて出願指導をしたりすることはありません。
学校の教員で,そう言った仕事をせずに,教科指導しかやらない教員が出てきたら学校運営は止まってしまいます。
担任・校務分掌の仕事で教員の評価ができるか
担任は生徒の進路相談に乗ることが多いですが,これも進学率アップや有名校への進学等,学校の宣伝のために生徒を誘導させることにつながります。
受験しなければ受からないので,とにかく受験をしてもらおうと,アドバイス生徒目線ではなく自分の評価を基準に考えるようになってしまう恐れがあります。
校務分掌の仕事もいろいろな仕事を抱える場合は評価してあげたいのですが,中には「やり方がわからない」「忙しい」などと理由をつけて人に押し付ける人もいます。
仕事を押し付けた人が虚偽の申告をした場合,人事評価をする人も目が行き届いていないと誤った評価をしてしまうことにつながるでしょう。
部活動で教員の評価ができるか
部活動は課外活動です。
命じられた仕事について時間と労力を割いたならば,手当や残業代という考えは必要でしょう。
ただ,どんどんやった方が良いという部活動メインの考えになるような人事評価は避けたほうが良いでしょう。
これらをひっくるめた総合的な評価はできないのか
学校はバランスよく人を育てるのが大切なので,バランスの良さを人事評価に活かそうと思うかもしれません。
そこまで人事評価の目が行き届かないと思われます。
私の経験でも,その時その時にどんな仕事で忙しいのか管理職はわかっていませんでした。
管理職としても人事評価という新たな仕事が増えたら疲弊してしまうでしょう。
人事評価制度は必要だとは思うが,解決する問題は沢山。。。
ここまで能力給が難しそうということについて書いてきましたが,能力給があった方が教育の活性化につながるとは思います。
教員も人間なので,頑張っても給料が増えないなら,頑張らないという人は一定数います。
ただ,どう仕組みを作っていくかが非常に難しいです。
万能な教員はいません。
仮に「来年から部活動学校から進学校に転換します。貢献してくれた教員はボーナスを出します。」と管理職が言っても,ノウハウがないので現場の教員は追いつけません。
必要な教育に人とお金を投じるなら,管理職や人事が時代の先を読んで,10年後,15年後に社会で求められる人材を育成するためにはどんな教育が必要か見通して,そういった教育ができそうな教員を採用し,研修もして,教育活動を行わなければいけません。
また,より教科指導に力を入れるので,学校行事,校務分掌の仕事を軽減させるなどのバランスの取れたマネジメントも必要です。
それができないなら,今のままのほうがまだマシかもしれません。
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