最初に授業をするときに「先生は授業の予習で何をすればいいの?!」って感じました。
高校生の時は自力でわからないこと,自力でわかったことの整理が主な予習の目的でした。
先生は基本的にはわからないことがない状態で授業に臨みます。
ただ,それだけで十分でしょうか?
自己紹介
教材は扱う範囲を3回予習する
自分は教育実習の時にこんなことを教えてもらいました。
授業の準備は教材の同じ部分を3回に分けてやります。
1回目は教材の内容を理解するためです。
2回目は教え方をイメージするためです。
3回目は実際に頭の中で授業をシミュレーションします。
1回目は生徒が授業の予習をするのと似ています。
ここまではイメージしやすいと思います。
もしわからないことがあれば,このタイミングできちんと下調べしておきましょう。
2回目は黒板に書くことの計画を立てたり,どんな説明の仕方が理解しやすいかなどをイメージします。
黒板に書くことの計画はノートや教材のコピーなどに書いておきます。
書き忘れ,伝え忘れを避けられます。
生徒がつまづきそうなところ,時間をかけて説明した方が良いところなども確認します。
3回目で1度頭の中で授業をしてみます。
慣れてくると,3回もやらずに済むかもしれませんが,教育実習に臨むときはこれくらいの準備が必要になると思います。
自分の場合,春休みとGWに1学期分の授業準備,夏休みに2学期分,冬休みに3学期分の授業準備をざっくりとしていました。
授業の直前では準備した内容を確認したり,生徒の理解度に応じて臨機応変にプリントを準備したりしていました。
ルール化しておくチョークの使い方
黒板を主に使う授業の場合,チョークを毎度チョーク置きに置きません。
白,黄色,赤チョークを左手の指に挟みます。
私は右利きなので,左手は下のように指でものを挟んでいます。
親指と人差し指・・・テキストなど教材
人差し指と中指・・・白チョーク
中指と薬指・・・黄色チョーク
薬指と小指・・・赤チョーク
こうすることで,欲しい色をいちいち探して手にする時間を削減できます。
3色しか使わないの?とお思いになるかもしれません。
私は原則,3色で完結させます。
というのも,特に男子生徒は色ペンをいくつも持っていないことが多いからです。
黄色チョークを青ペンに置き換えれば,シャープペンシル,青ペン,赤ペンでノートをとることができます。
もちろん,それ以外にもやることはあります。
小テスト,配布資料の作成,印刷
小テストの計画を立てる
これは教育実習などではあまり気にする必要がないのかもしれませんが,自分一人で授業を担当するようになったら気にしなければいけません。
小テストは事前に予告して,生徒が勉強できる時間(日数)を確保しましょう。
抜き打ちテストを連発しても効果が上がらないからです。
人はゴールが見えないことについて努力し続けるのが非常に難しいのです。
だから,短期的目標(小テスト)は十分に準備できる機会を作って受験するのが良いのです。
もちろん,中期的目標(定期テスト),長期的目標(模擬試験)がいらないと言うわけではありません。
短期的目標の積み重ねの先に中期的目標,長期的目標があるのです。
小テストの作成・印刷
小テストは出版社が作成したデータやソフトを活用して手早く作っていきます。
教科書には指導用データとして,様々な付属教材がついています。
私が担当している英語では,英単語・熟語の小テスト,本文で出てくる文法・表現の小テストなどがwordやexcel形式でCD-ROMに収録されています。
副教材の場合,テストメーカーというものがついています。
例えば単語帳の場合,範囲を指定すると選択問題,記述問題など自動で作成されます。
出来上がったデータはそのまま印刷したり,wordやPDFでデータ化したりすることができます。
出来上がったものは印刷をするだけです。
私は授業ごとに小テストの作成に追われるとどこまで作り終えたかわからなくなってしまいます。
だから,夏休みなどの長期休みに次の学期で使う分の小テストはまとめて印刷していました。
もちろんこれをやるためには,春休みやGWに次年度1年間分の小テスト計画を立てておかなければいけません。
配布資料の作成
英文法を扱う授業のために,私はあまり配布資料を作りませんでした。
私が時間をかけて作ったプリントよりもずっと正確で見やすい資料(本,参考書など)が売っています。
大体どの学校も副教材何らかの参考書を買っています。
せっかく学校で統一して買う教材があるなら,それを活用しようというのがモットーです。
中には「買ったのに一回も使っていない資料集がある…」という経験をした人もいるかもしれませんが,自分はもったいないなと思ってしまいます。
また,高校になると5~10クラスくらいで複数の教員が同じ単元を扱うことになります。
「○○先生が作ったプリントからよく定期試験に出る」などということも避けたいので,共通した教材,つまり一括で購入した教材を使うのがよいのです。
教科書など英語の文章を扱う授業では,教科書のCD-ROMから本文,新出単語・熟語と日本語の意味などをプリントにまとめて配っていました。
英語長文の予習は,ノートの左ページに英語の本文,右ページに日本語を書いて,新出単語などはページ下部や中央のつなぎ目にまとめるのが一般的かと思います。
残念ながらそこまでの予習をする生徒が勤務校に少なかったので,予習をサポートする形でプリントを作っていました。
中には英文を手で書き写すのが無駄と言う人もいますが,個人的にはそうは思いません。
大変ですが,自分で書き写すと英語を読み飛ばさない,一つ一つの英単語に向き合って英語を読むことにつながると思っています。
音声,映像,ICT教材などの準備
英語の場合,音声教材を使うシーンがたくさんあります。
一昔前はCDデッキを持って,授業のたびにCDを探して再生します。
(教材のCDは,新出単語,通常読み,フレーズ読み,リスニング問題などいろいろ収録されているので,7枚組,8枚組になることもざらです)
私の場合は,事前にドライブなど個人利用のクラウドにあげておき,授業ではiPhoneなどを使ってBluetoothスピーカーで再生していました。
毎度ファイルを探すのが大変と思うかもしれませんが,長期休みの間に次の学期で使う音声データをフォルダやプレイリストで整理しておくと,授業中にあまり生徒を待たせずに展開できます。
英語の場合は本文を毎度黒板に書くと時間がかかってしまうので,プロジェクターでスクリーンまたは黒板に本文を投影し,電子ペンやチョークで解説を書き込んでいきます。
書き込むためにはスペースが必要なので,例えば教科書の資料用CD-ROMにある本文データを使い,行間をあけた本文データを作っておきます。
また,最近は指導用デジタル教科書も使いやすくなっています。
教科書会社も授業展開の声を参考にしているのか,スクリーン上に書き込めるよう行間が広めであったり,調節できたりする仕様になっているものが多いです。
指導用デジタル教科書は編集の必要がないので便利です。
リモート授業の授業準備
コロナ禍ではリモート授業を経験しました。
生徒はiPadを持っている状態でしたので,授業を動画で撮影して配信したり,課題を配信してメール等で質問対応をしたり,zoomで授業や質問対応をしたりしました。
いろいろ試してみて,zoomで授業をするのが良いなと思っています。
動画はライブ感がないので,特に会ったことのない生徒に授業をする場合,生徒の様子がわかりません。
どれくらいの生徒が学習に向き合えているのかわからない中,撮影していました。また編集にも挑戦しましたが,10分~15分の動画を作るのに,5時間程度かかりました。
もしオンデマンド授業をするにしても編集は厳しいなと感じています。
メール等でやり取りする場合も,質問者が的確な日本語で質問をしてくれないと何がわからないかが伝わってきません。
口頭では10秒で済む質問対応が,数日にわたってやり取りを続けなければ解決しなかったということもありました。
zoomは生徒もカメラをオンにすることで様子がわかります。
また資料の共有もできるので,黒板に書くことをまとめておいた資料をスキャナーでPDF化して,画面共有をすれば黒板やプロジェクターを使って授業をするときと似た環境を作ることができます。
グルーワークも事前準備が必要です
グループワーク,アクティブラーニングをする場合は,行き当たりばったりになると単なるおしゃべりの時間になってしまいます。
グループ分けは,教科の得意不得意,よく話すタイプかあまり話さないタイプかなど生徒の特長を考えて分けられるとよいです。
また活動をさせる時間はどれくらいか,短すぎると何も話し合いを進められず,長すぎるとおしゃべりの時間になります。
討論をする場合は,想定される生徒の反応を予想しておき,あえて反対の意見をぶつけてあげると議論が深まります。
もちろん,教員が提示する反対の意見は強制させるためのものではありません。
様々な角度から物事を考えるための問題提起です。
まとめ
もろもろ含めると,50分の授業1回のための準備時間は授業時間と50分くらいかかるかもしれません。
(小テストの採点は「準備」ではないので含めませんでしたが,含めるなら50分以上かかるでしょう)
昔,自分が通っていた高校の先生は1回の授業で授業時間の3倍の時間をかけていると言っていました。