一般的には大学受験のための受験生というと高校3年生のことを思い浮かべると思います。
ただ,実際のところ高校3年生だけ頑張って合格できる大学は限られています。
本当に必要な勉強時間について書いてみます。
一定の時間内における人間の脳の吸収力には限界がある
受験のカギは何といっても学力です。
問題傾向の分析や,解答力育成も必要ですが,求められている学力が備わった後にやることです。そして学力の差は知識量の差です。
人間の脳には,それぞれ一定の時間内での吸収力に限界があります。
例えば,1時間で英単語を10個だけ覚える人,50個覚える人,100個覚えられる人,個人差はあると思います。
ただ,1時間に英単語1000個覚えられる人はまずいないと思います。
人によって幅があるものの,いずれにしても人には特定の時間内の学習できる量には限界があります。
数学も経験という知識が武器になります!
数学や物理は知識ではなく思考力ではと思うかもしれません。
間違っていません。
得意な人は少ない知識量でいろいろな問題を解くことができます。
ただ,みんながみんなそうではありません。
得意ではない人は,たくさん問題演習をして,いろいろな問題の解き方を覚えていくのです。
苦手な人の話を聞くと演習量が足りていないなという印象を持つことが多いです。
そういった意味では,料理と似ているかもしれません。
料理を全くしたことのない人は,レシピ通りに作るだけで精一杯です。
いろいろな料理を作っている人は,食材の特徴,食べ合わせなどを考えてアレンジを加えられます。
英単語のような一問一答の知識ではありませんが,広い意味で知識の蓄積になります。
人間は忘れる生き物です。忘れた後に覚えなおすのが大事。
高校2年生まで,定期試験前だけ少し勉強して,試験が終わった後に勉強したことをほとんど忘れてしまう人もいるでしょう。
こういった勉強法の人は高校3年生になって知識が残っていません。
高校2年生までの学力の蓄積がない人が,高校3年生の1年間だけで高校3年間分の学習(もしかしたら,中学校の内容にさかのぼっての学習も)をするのは無理があります。
その間に,ライバルはちょっとした知識の抜け漏れを補ったりして,より確実な学力を身に着けているわけです。
よほど吸収力の高い人でないと高校2年生までの遅れを取り戻すことは難しいでしょう。
中高一貫校の教員は中学1年生から大学受験を意識している
限界がある以上,学習を先延ばしにしないことが重要になってきます。
中高一貫校では,中学1年生から大学受験を意識して教育活動をしています。
(公立の中学は受験指導をするのではなく,幅広い人に教育を行き届ける公教育の性質が高いことが多いです)
中高一貫校に通っていて塾は必要か?
いろいろな学校があるので一概には言えませんが,学校側が塾なしで進学できることをアピールしているケースについて考えてみます。
学習量,学習のペースは学校で計画されています。
ただ,このペースについていけず,かつ毎週誰かに個別指導を受けたい場合は塾に通ったほうがよいでしょう。
また,学校のペースでは物足りない場合は予備校に通うのも手だと思います。
学校は教室に40人くらいの生徒がいるので,個々の学習のスピードに合わせるのは難しいです。
基礎から復習したい人への学習法を教えたり,難しい問題に挑戦したい人向けのプリントを用意したりすることはできそうですが,個々に人を割くのは難しいかもしれません。
忘れることを想定した勉強計画
早めに学習を進めるのは復習するためでもあります。
人間,一度学習したことも忘れてしまいます。
復習するための時間を確保するためにも,早めに勉強を進めておきます。
復習は実力試験やこれまでの小テスト等の内容をもう一度,定期テストで出題するようにしていました。
インプットとアウトプットの両方が大切
また,知識はインプットだけでなく,アウトプット(解答力)も訓練します。
高校3年生までの教科書の内容を高校2年までに終わらせて,問題演習などのアウトプットに時間を使うことが多いのではないでしょうか。
偏差値60以上の最難関大学を狙う人の勉強時間
東大など最難関大学を狙う人は,中学1年生~高校2年生までは学校の授業のほかに3時間程度以上は勉強しないと間に合わないでしょう。
高校3年生になったら,1日10時間以上の学習(学校の授業時間も含む)となってきます。
東大に合格した人の話を聞くと最低でもこれくらいはやっているようです。
偏差値50くらいの大学を狙う人の勉強時間
単純に最難関大学の半分になりますので,中学1年生~高校2年生までは学校の授業の他に1.5時間以上の勉強時間になります。
高校3年生になったら授業時間を含めて1日5時間程度以上の勉強時間になるでしょう。
ただ,もともと学校の勉強以外に中学1年生からコツコツと1.5時間勉強していた人は,受験生モードになると授業時間の5時間(50分×6コマ)にプラスして数時間は勉強できるものです。
なので,実際には偏差値50よりは高い大学を狙えるでしょう。
偏差値50くらいの大学に合格するパターンは,中学1年生〜高校2年生までに毎日勉強していなくて,高校3年生になり受験生モードで学校の勉強+α頑張った。
これくらいの学習時間かなと思われます。
公立中学での勉強法と大学受験の勉強法
公立中学の定期テストの勉強法
公立中学は私立中学,高校に比べて勉強量が少ないことを先ほど触れました。
自分も公立中学出身ですが,おそらく全部覚えてから問題演習をしようと思っていませんか?
だって,全部覚えていないのに問題集をやってもどうせ解けないし,問題の数も限りがあるから勿体無いよね。。。
確かに公立中学は同じ内容を数回の授業で何度も繰り返し勉強したり,「ここだけは覚えておいて」と授業中に言われたりして,限られた学習範囲を覚えることが定期テストの点を取るために有効な勉強法なのかもしれません。
高校入学後や大学受験の勉強法
ただ,大学受験ともなるとそうではありません。
とても全部覚えてから問題演習なんてできません。
そもそも「全部」とはなんなのか,英語の受験指導をしてきた自分でもわかりません。
英単語一つをとっても,単語帳の単語を全て覚えたからといって入試で知らない単語には遭遇します。
また文法も高校1年生で学ぶ中学の総復習のような文法は全てマスターしてからという方法もありですが,細かい文法事項や語法はどこまでやれば完璧なのかはわかりません。
それを完璧にしてから問題演習なんて思っていたら,いつまで経っても問題演習に移れません。
中学校と高校の勉強法の違い
ということで,
- 公立中学の定期テストは覚えてから問題演習に移るのもあり。
- 高校(特に大学受験準備)からは,暗記と問題演習は同時並行。単語帳などの暗記は毎日コツコツこなす。同時に長文や文法・語法などの問題を演習し,解いた後は,自分が授業できるくらい抜けていた知識を覚え,解法の手順を覚える。単語帳や1問1答のような教材だけでなく,問題集は演習+暗記教材と捉える。
問題集は過去の入試問題でよく扱われているものが問題になっています。
過去のデータ分析は出版社がやってくれているので,それを信じてまずは1冊を丁寧に,そして1冊分人に教えられるくらいになったら次の1冊へと,丁寧にやっていきましょう。
5分考えてわからなければ答えを見てしまおう!
真面目な人ほど,解答解説に頼らずに自力で解こうとし,数学などで1問に30分以上使う生徒もいます。
その行い自体は褒められることですが,定期テストや入試でできるだけたくさんの点数をとることを念頭に置いたとき,効率的とは言えないかもしれません。
以前,学校の成績がいい生徒に勉強法を質問したことがあります。
意外にも,「5分くらい考えてわからなかったら答えを見ます。
それで理解した後に,翌日,翌々日などに自力で解けるかどうか確認します。」とのことでした。
確かに,30分かけて1問を一生懸命考えるよりは,5分間で6問に触れた方がテスト本番で点数が取れますね。
必ず復習することが前提となりますが,答えを上手に使った勉強をお勧めします。
今の勉強法は本当に効果がでる勉強法なのか?
最後に,成績が伸びていない生徒の共通点は自分のやり方に固執してしまう点です。
もちろん,勉強に意識が向かないという人もいます。
そうではなくて,日常生活は真面目で,提出物もきちんと出すのに成績が伸びない人は,テストで点数をとるために効率的な勉強法に切り替えずに,自分のやり方を譲らないという人が結構多いのです。
おそらく,公立中学まではその方法で上手くやってきたので,やり方を変えることへの違和感を感じているのかもしれません。
まとめ
勉強時間については周りの人の話をもとに考えたものなので,個人差はあると思います。
ただ,高校生の学力を見ていると,小さい頃からの積み重ねは大事だなと改めて思い返しました。
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