以前,学校の教員の1日について書きました。
その時は生徒が学校に来る一般的な1日について紹介しました。
今回は年単位でどんなことをしているかご紹介したいと思います。
自己紹介
年間の時期ごとに変わる学校教員の仕事内容:4月
4月は1年の中で最も忙しい月です。
3月に担任のクラス,部活動,校務分掌等の人事が発表されます。
その後に、短い期間で生徒たちを迎え入れることになります。
ということで目の前の授業,HR,部活動,学校行事の運営等をします。
同時に、生徒と顔を合わせていない時間に授業,HR,行事の計画・準備をします。
準備をするために人事の発表を前倒しにできないの?
準備を十分できないならば,もっと前もって人事を発表できないかと思うかもしれません。
これは,転勤のある公立,転勤がほぼない私立と状況はことなりますが,以下の順番で決まっていきます。
- 管理職教員の配属先が決まる
- 現場の教員の配属先が決まる
- 新入生の人数,クラス数が決まる
- 学校内での人事を決める
公立は4年程度に1度のペースで転勤になるようです。
ただ転勤の場合も,自宅から2時間以上離れたところなどに配属させることは考えにくいです。
結婚,介護等,ご家庭の事情で勤務校を変えたいと考える教員もいるでしょう。
新人の採用活動は4月から募集を始めても,9月以降にならないと採用者のめどが立ちません。
(新人は9月に「教員採用候補者名簿」に登録され,3月に配属校が決まるそうです)
そういったことを総合的に考慮して,人員が余剰にならないよう配置していきます。
公立でも地域ごとで変わるかもしれませんが,管理職教員と現場の教員は同時,あるいは管理職教員の方が早めに配属先の発表となるでしょう。
3月上旬に新入生の人数,クラス数(=担任の人数)が決まり,学校内の人事を決めていきます。
もちろん管理職も年明けくらいから少しずつ準備はしていると思いますが,確定するのはギリギリになってしまいます。
少し話がずれましたが,校内の人事がギリギリに決まるのは,どうしても避けられません。
4月は準備と教育活動を同時並行で進める
こういうわけで担任,授業担当クラス,部活動,校務分掌等が決まったあと,授業の準備,クラス運営の準備,学校行事の計画等が始まります。
どうしてもこの時期はタスクが多くなります。
直近の行事を優先的に計画・準備しつつ,1年間の教育活動の見通しを立てておきます。
4月は特に「準備しながら実行」という状態になり、毎日マルチタスクです。
対生徒には4月にけじめをつける指導が大切
4月に生徒と向き合う際はけじめが大切です。
生徒も人間なのでできるだけ楽をして生活したいと思う人が少なくないです。
時間を守る,提出物は自分で確認をするなどの習慣はここでつけておかなければ,「前は許されたのに」と思われ,持ち直すことは難しくなります。
クラス、授業、部活において、人間関係を適切に作ってもらうために,いじめ等は許されないなどの姿勢もきちんと示しておくことも大切です。
年間の時期ごとに変わる学校教員の仕事内容:5月~7月上旬
最低限の準備が終わる時期
この時期になると授業、担任をしているクラスなどは軌道に乗っていると思われます。
担任や、部活動顧問としても、けじめをきちんと指導し続けていれば,おおむね生徒はけじめをつけられていると思います。
(もちろん1度言っただけでは徹底できないので,繰り返しの指導が必要です)
クラス内の生徒の委員会・係の仕事,教室清掃の分担も決まっているでしょう。
担任として進路指導を初めていく時期
5月になり少し落ち着いてくると,進路について情報を提供したり,調べ方を伝えます。
職業を意識して卒業後の進路を考え,卒業後を意識した文系・理系の選択をするのが一般的です。
高校以上は自分の選択がその後の人生に影響を及ぼします。
情報を手に入れ,きちんと考えられるよう材料を提供します。
定期テストの合間に文化祭・体育祭などの学校行事が入る
文化祭,体育祭をこの時期に実施する学校があると思います。
その準備が本格的になります。
文化祭は決められたルールを説明します。
また、生徒が企画を考えるサポートをしたり,物品を購入するなど金銭の取り扱いが発生する場合は,適切に介入します。
体育祭は効率的に運営するために競技の順番,必要な用具の整理,生徒の実行委員の動かし方などを計画します。
どちらも教員が最初から最後までやってしまえば早いのですが,それでは教育にはなりません。
(会社で部下を育てる時と同じですね)
どこまで教員がやって,どこから,どう生徒に任せるかがポイントになります。
5月下旬、7月上旬は定期テストを実施
同時にこの時期は定期試験があります。
毎年,同じ問題を出す教員がいると聞いたことがありますが,毎年作り変えるのがよいでしょう。
理由は以下の通りです。
- その年の生徒によって習熟度が変わるから
- 部活の先輩から問題を手に入れられた人だけ得をするから(社会に出て人脈作りができる人ということで,絶対悪ではないかもしれませんね)
- マンネリ化すると,教えていないことまで出題範囲にしかねないから
- 教員も研鑽を経て出題方法等を改善させたほうがよいから
- そもそも使用教材が毎年変わるから
どれも絶対的な理由にはならないかもしれませんが,以上のような理由で変えています。
1つ作るのにトータルで7~10時間くらいはかかるかもしれません。
生徒に「テストの復習は大切だ」と指導する手前,手は抜けません。
コツコツと作っていきます。
試験が終わった後は,採点,成績処理になります。
採点は1クラス1時間半くらいかかっています。
平常点も算出し学校のシステムに点数を入力して成績処理は一区切りです。
高校では留年があるので,進級が難しい恐れのある生徒(と保護者)を学校に呼んで指導することがあります。
期末試験が終わったあと,またはその後の長期休暇中に対応します。
年間の時期ごとに変わる学校教員の仕事内容:7月下旬~8月(夏休み)
ここまでは怒涛の毎日でしたが,少し落ち着きます。
ただ,部活動,2学期以降の授業や学校行事の準備等があります。
部活動は公式戦に加え,練習試合,合宿を計画する場合があり,通常時に比べてやや忙しくなるかもしれません。
(どれも自主的な活動のはずですが,やらなければいけない雰囲気になることもあります)
部活は少し忙しくなりますが,HRや授業がないので時間的な負担はかなり減ります。
学期中は有休を消化できないので,夏休み等に消化をすることも多いです。
受験生を受け持っている高校の担任は調査書をこの時期から作成し始めます。
学校推薦型選抜の場合,2学期に調査書が必要になります。
調査書は評定や生徒の住所等,学校のシステムにもともと登録してあるものもあれば,指導上参考となる諸事項のように担任が一人一人入力するものもあります。
年間の学校の教員の仕事内容(1学期編)マルチタスク必須!のまとめ
ここまで1学期分だけ紹介してみました。
1学期は年度初めになるので,どうしてもやることが多いです。
授業、担任、学校行事、部活動が同時進行で進む様子を感じ取れましたか?
マルチタスクで進める力が必要です。
次回は2学期以降の流れについて紹介したいと思います。
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