学校選抜型入試(推薦入試)に出願したり,給付型奨学金を申請したりするのに推薦書の提出が求められることがあります。
推薦書の自分なりの書き方を紹介してみます。
例文は,「全国大会出場!」や「学年でトップ成績!」といった生徒を想定しませんでした。
ほとんどの生徒に当てはまりそうな生徒像をイメージして書いています。
自己紹介
全体の構成
以下の4部構成にします。
- 人物・行動の特徴
- 学習面
- 部活動,委員会・係活動などの顕著な課外活動
- 志望理由や将来の進路に向けた個人的な活動
指定された文字数や記述欄の幅によって,削ります。
この書き方で字数不足に苦労したことはありませんでした。
それでは,一つ一つの書き方について紹介していきます。
冒頭:人物・行動の特徴
〈例文〉
当該生徒は穏やかな性格であり,クラスの係の仕事にも責任をもって取り組んでいる。休み時間は読書をしている様子が見受けられる。クラスでは英語係を担い,クラス全員分の提出物の回収など学習活動をサポートしている。
まずは漠然と性格や行動の特徴を書いてしまいます。
その後,具体的な行動を書きます。
具体的な事実,行動を書くのが相手に伝わる推薦書を作る意味でも,字数を稼ぐ意味でも大切です。
第二部:学習面
〈例文〉
毎日18時まで学校で部活動をしている中,1日30分でも自宅で学習時間を確保する努力をしたと述べている。主体的に学ぶ力があると言えよう。また,ノート提出の際も自力で考えたことと授業で習ったことを分けて書いており,考えて授業に参加している様子が見受けられた。
学習面は事実を書くのが主になります。
今回のように,数字はできるだけ具体的に書いた方がよいです。
とは言え,自分のことを書くわけではないので,教員側が持っている情報は限られています。
できる範囲で具体的に書きましょう。
中学・高校は担任がすべての科目を教えるわけではありません。
授業中の出来事については,あくまで自分の授業や他の教員から見聞きした内容を書きます。
「~と言えよう」や「~な様子が見受けられた」という表現を自分はよく使います。
表現にバリエーションを持たせたいためと,自分が抱いた印象を一つの見方として文書に書きたいためです。
点数や評定については,別にまとまっているので「英語の定期試験が90点で,評定5をとることができました」などとは私は書きません。
情報が二重になってしまいます。
学校はハンコ文化が残っていますね。
これは個人的な志向ですが、大事な文書にはちょっといいハンコを使っています。
学力の三要素を求められた時はどう書く?
最近は学力の三要素,特に「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」について触れて書くことが求められることがあります。
私は先ほどの例で,事実と評価を紐づけして書きます。
先ほどは,太字&アンダーラインを付けた通り,主体性と思考力に関連付けました。
今回の記事はものすごい努力をしていたり,成績上位者の生徒像ではなく,普通に学校生活を送っている生徒像の推薦書をテーマにしています。
そして,そういった「普通の」生徒の方が学校には多いでしょう。
全く無気力で,全く何も考えない生徒はあまりいないと思います。
別に勉強に限った話である必要はありません。
そこをネタに学力の三要素と紐づけして身はいかがでしょうか。
また学力の三要素は勉強面に限定する必要はありません。
下の部活動の記述でも盛り込みました。
第三部: 部活動,委員会・係活動などの顕著な課外活動
〈例文〉
部活動では○○部に所属しており,△△のポジションでした。「私の役割は・・・である」と認識しており,主体的に部の中での自分の役割を考えて活動していた。また,2,3年生になってからは後輩の指導にもあたった。
部活動も基本的な書き方は学習面と同じです。
今回は特に全国大会に出場したなどの成績がないけれども,部活を頑張っていた生徒像を想定しています。
第三部: 志望理由や将来の進路に向けた個人的な活動
〈例文〉
将来は建築士になることを目指しており,特に修学旅行で訪問した五重塔の構造について興味を持っていた。
本当は夢の実現に向けて,ボランティア活動をしていたり,専門書を読んでいたりすれば書きやすいです。
ただ,普通の高校生はなかなか・・・。
だから,学校生活の中の事実と将来の夢を紐づけて書くことになるでしょう。
ただ,現実感を出すためここでも「五重塔」という具体的な固有名詞を使いました。
末尾:簡単にまとめ
〈例文〉
以上,人物面,学習面等を鑑み,上記生徒を貴学に推薦したい。
まとめは簡単にさらっと書きます。
ちなみに,ここまでの例文の文字数の総計は406文字。
字数不足なら事実をより詳しく書けばいいです。
字数オーバーなら,優先順位をつけて項目を削りましょう。
細かい書き方のポイント
事実を書いていく
先ほどの例で示した通り,自分の印象はできるだけ少なくし,事実を多く書きます。
事実を中心に書くことで,相手に誤解なく伝わりますし,字数も増えます。
推薦書は生徒の「自己PRと志望理由書」を書くようなものです。
ここで自己PRと志望理由書について説明しておきます。
これから教員になろうと考えている方は,大学の就職指導課等で「自己PR・志望理由書 書き方講座」などがあれば受講しておくことをお勧めします。
私も大学時代に書き方を学び,それが自分の教員採用試験で活きましたし,生徒の進路指導でも活きています。
情報が集まれば,主語を自分ではなく生徒にして書いていくだけです。
ちなみに,自分が学生をしていた時に自己分析・履歴書,エントリーシートの作成に参考になった本です。
教員志望でしたが就職活動もしていました。
分厚くて取り組むのは大変ですが,今の進路指導にも役立っています。
とは言え,何十人も書かなければいけないこともありますし,自分以外の人の過去や将来像は把握しづらいです。
自分の履歴書・エントリーシートを書くより難しいので,基本的な考え方として理解しつつ,できる範囲での仕上げになるかなと思います。
生徒が「推薦書依頼願」を提出しておくと,書きやすいです
推薦書を書くのは基本的に担任になります。
中学,高校になると担任はクラスの生徒と同じ場所にいることは少なくなります。
だから,生徒には「推薦書依頼願」を提出してもらって,それを基に書いていくといいでしょう。
質問事項はこんなところでしょう。
- 所属している部活動,委員会活動,係活動は何ですか?(すでに分かっているとは思いますが念のための確認の質問)
- 授業中や自宅の勉強でどんな工夫をしましたか?
- 部活動ではどんなポジションやパートを担当していましたか?
- 部活動でメンバーとして大会で,何か実績はありますか?
- 部活動,委員会活動,係活動でどんな工夫をしましたか?
- 自分の進路について,どんなことに興味を持っていますか?またきっかけは何ですか?
- 自分の進路に向けて,何か読んでいる本,大学の模擬講義など取り組んだものはありますか?
- 自分が大学で学んだことを通して,どんな風に人の役に立ちたいですか?
できれば大人が納得するような情報を引き出したいので,普通の高校生からすると「ありません」と回答される質問も入れておきます。
そのうえで,これくらいなら普段の生活でも書けるかなと思われる質問も載せておきます。
この紙だけでは少し情報が足りないかもしれません。
普段,生徒の様子を見たときの情報,指導要録の記録,生徒から集めた「推薦書依頼願」など紙の情報で,推薦書を作っていきます。
下書きは必須!文字数のカウントからスタート
私自身,推薦書は今までに60人分くらい書いたことがありますが,一発本番はやりません!
というのも
- 色紙や厚紙など大学から指定された紙に手書き場合,書き損じができないから
- 分量の調整が必要だから
手書きの場合,まず文字数の確認をします。
マス目が印刷されていれば文字数の計算はいりません。
枠に書き込む形式なら,まず罫線がなければ,15~20mm幅にシャープペンシルで線を書きます。
その後,約7mm間隔で罫線に印をつけておよその文字数を把握します。
その後,ワードで推薦書を作成して文字数の調整をします。
その後,シャープペンシルで指定の紙に書いて,ボールペン書きになります。
もちろん,ボールペン書きして乾いた後,消しゴムでシャープペン書きを消します。
(以前,シャープペン書きがそのまま残っていた推薦書を見たもので,念のため付記しました)
ワードやインターネット上のフォームなど,PCに打ち込みができる大学なら,こういったアナログの作業は必要ありません。
それでも,字数の調整は必須です。
手が疲れにくいボールペンで有名なジェットストリーム
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
推薦書の書き方についてまとめてみました。
いろいろな書き方があるかと思いますが,一つのやり方としてご参考になれば嬉しいです。
コメント