大学入試|模試と入試の違いを分析|英語の論述式問題編

論述式問題 入試と模試の違いアイコン 高校生への英語知識・学習法
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大学進学に向けて受験指導をしていると、よく感じます。

模試の論述式問題と、大学入試の論述式問題は少し違うかも!って。

模試で出題されるパターン、実際の大学入試のパターンを紹介します。

特に今回は「下線部を日本語で説明せよ」の出題形式を分析してみます。

隣の芝
隣の芝

自己紹介

  • 非常勤+専任の私立教員歴は約15年!
  • 担任は10年以上経験! 修学旅行の準備・引率、大学受験の指導経験もあり
  • 教科は英語海外への引率経験もあり
  • 校務分掌教務、進路、広報、生活指導、生徒会を経験!
この記事をおススメしたい方
  • 記述模試で点数が伸び悩んでいる受験生
  • 過去問を解いても論述式問題の自己採点に困っている受験生
  • 論述式問題の受験指導に困っている学校の先生

模試と入試の違い|模試は厳密に部分点がつく

1回の模試の受験者数は、特定の大学の入試の受験者数に比べて圧倒的に多いです。

大学は沢山ありますが、全国的な模試は河合、駿台、Bnesse、東進くらいしかありません。

全国の大学受験生が数社に集中するので、おのずと受験者数も増えます。

そうなると、模試は大量の答案を、複数の採点者が、全国のそれぞれの場所で採点すると思われます。

多くの人が別々の場所で採点するということは、部分点のルールも事前にかなり厳密に決める必要があります。

実際の入試は、模試に比べれば数は少ないですし、同じ大学の敷地内で採点します。

大学内の同じ部屋で採点をしていれば、「○○という解答があったんだけど、どうでしょう?」と協議することができます。

この点、模試に比べれば事前の採点基準の取り決めが少ないかもしれません。

ここまで模試と入試の違いを分析しました。

では、模試で「下線部について日本語で説明せよ」といった問いの解答手順を見ていきましょう。

模試の論述式問題「下線部説明」の解き方

①解答の根拠となる部分を探す

英語の試験なので、解答の根拠を本文の中から探さなければいけません。

雰囲気で解答すると、的外れになり大幅減点になることもあります。

②探し出した解答の根拠を和訳する

「日本語で説明せよ」となれば、根拠となる部分をまず和訳することになります。

この際に、文法、構文、語彙などを誤ると、英語を理解していないことになるので減点対象となります。

模試はこの部分をきっちり点数に反映させるようです。

③指示語、抽象語を言い換える

問題文の指示が「下線部の内容を補足している部分を和訳せよ」といった指示であれば、単なる和訳でOKです。

しかし、実際には「説明せよ」と指示されることがほとんどです。

「説明」とは、あいまいなまま答えを書いてもダメです。

指示語や抽象語は具体的に言い換えます。

出題例

ふと、ケンジは見上げると、空には大きな虹がかかっていました。その美しさに、意気消沈していたケンジは少しだけ心が軽くなりました

下線部の理由を日本語で説明せよ。

直接的な理由は「その美しさ(のため)」です。

ただ、これだけでは「説明」にはなっていません。

もう少し戻って、「その=空の」「美しさ=大きな虹」と置き換えてあげれば、ケンジの心が軽くなった理由として説明になります。

実際の模試は、もっと長文になるので複雑で探すのが大変ですが、似た仕組みです。

④日本語が不自然であれば修正する

英語の無生物主語、名詞構文、日本語にできるはずの横文字などは、適切な日本語にしないと減点対象です。

日本語として適切でないと減点対象になります。

男子生徒が試験を受験しているイラスト

模試と入試の違い|入試問題は大学により差がある

入試問題も基本的には模試のときと同じように答えを考えます。

しかし、実際には大学ごと、問題ごとに差があります。

  • 模試のようにきっちりしていて、和訳問題のように構文、文法なども厳しくみられるパターン
  • 本文中の該当箇所の内容が誤りなく記載されていれば、正確な和訳になっていなくてもほぼ満点をもらえそうなパターン

また、字数指定がない問題は、本文中のどの部分まで解答に盛り込むか判断しづらいです。

この場合、最終的には解答欄の枠の大きさで、はみ出ないようにできるだけ盛り込むのが無難と考えます。

複数社の模範解答を比較すると正答の幅がわかる?!

私自身は生徒から過去問の添削の相談を受けると、以下のように複数の模範解答でチェックします。

こうすることで、特に解答が厳密でなさそうな問いについて、どの程度の部分点を挙げられるか推測します。

①自分自身で問題を解く

出版社や予備校の模範解答が間違っていることがあります。

添削をする時に、既存の模範解答だけを鵜呑みに添削することは危険です。

また、模範解答を見ただけでは、部分点がどれくらいつきそうかイメージしづらいです。

まずは、自力で解いてみます。

自力で解いてみることで、模範解答に幅があるかないかもチェックできます。

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②複数社の模範解答を確認する

次に自分の作成した解答と、出版社、予備校の模範解答と見比べます。

私がよく使うツールはこれらです。

この3つを使っているのは、手に入りやすいからです。

他の教材は、模範解答の精度が低いという理由ではありません。

赤本は蔵書があり、相談に来た受験生も持っていることが多いです。

東進の過去問データベースは無料で閲覧できます。

Xam(イグザム)も購入した分は簡単に検索・閲覧ができます。

模範解答の制度はそれぞれ見比べて、随時判断しています。

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③自分の解答と模範解答を見比べて、外せないポイントを探る

模範解答を自分の解答を含め3〜4種類見比べます。

基本は3種類だけをチェック。

中には明らかにポイントがずれている解答もあるので、その場合は4種類目も見比べます。

自力で解いた時点で、

  • 「本文中のこの部分が解答の根拠になるな」
  • 「うーん、これは本文中のどの部分まで解答に盛り込むか判断が分かれるぞ」

などと、感触を掴みます。

自分で解いて、解答の根拠がしっくり来るときは、どの出版社、予備校の模範解答を見ても模範解答の作りが似ています。

模試のような高精度の解答が求められそうと予想します。

しかし、判断が分かれる時は、(やはり)出版社、予備校も模範解答の情報量にずれがあることが多いです。

どの模範解答にも当てはまっている部分は必須な情報として抜けていると大幅減点にします。

そうでいない部分は配点の0〜3割程度の減点の恐れがあると、添削します。

また、情報量の調整をするということは、解答の文字数の調整をするので、和訳のように厳密に英文を日本語化することはできません。

構文等が厳密でなくても、大きな減点はないと予想します。

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論述式問題における模試と入試の違いのまとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

少しでも受験勉強の参考になれば幸いです。

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