学校はブラックな職場。
よくメディアでも取り上げられるようになりました。
とは言え,どんなものかまだまだわからない方も多いと思います。
今回はできるだけ現場の声をお届けします。
自己紹介
会社勤めとは全然違う?!学校で働くとこんな感じ
中学校や高校にフルタイムで勤めると,教科担当,担任,校務分掌,部活動顧問の4つの仕事を担います。
労働基準法によると,週の労働時間は40時間です。
36協定など細かい話はすっ飛ばします。
土曜日も学校がある学校と仮定して,
としましょう。
教員の朝の打ち合わせに10分。
担任を持っていれば,朝のHRに15分,帰りのHRに5分,清掃指導に15分くらい割かれます。
授業や会議は平日に4時間,土曜日は3時間くらい担当します。
職員室から教室までの移動時間を考慮すると,これだけで4〜5時間使います。
よって,時間的拘束のある業務は平日に5時間,土曜日に4時間あることになります。
残った時間で何をするか 〜とある1日の雑務〜
1〜2時間も残るから,かなり余裕じゃん?!と思うかもしれません。
しかし,空き時間には「雑務」が残っています。
とある1日に私が処理した仕事を書いていきます。
日によって仕事の内容は変わりますが,こういったことを毎日こなします。
この日は,140分ほど「雑務」に割かれました。
割と順調に仕事が進んだ日だったと思います。
ちなみに私は,仕事は早く終わらせて自分の時間を持ちたいので,あまり周囲と喋らずに黙々と仕事をします。
それでも,これくらいかかってしまいました。
後はお手洗いにだって行きますし,少し話しかけられて「○○を教えてくれませんか」「ちょっと物を運ぶのを手伝ってくれませんか」といったこともあります。
作業は一度始めると途中で止めづらい部分があります。
「授業まであと10分あるけど,10分で終わる仕事がないな~」など,空き時間をフルに使えなかったりもします。
その分,放課後に作業を行うことになります。
どんなに時間を節約しても,1時間くらいはオーバーしてしまいます。
雑務にそんなに時間がかかるか?
大学,専門学校,予備校などからの書類は毎日何かしら届きます。
1日に届く量は積み上げれば10〜20cmくらいになります。
(日本には本当にいろんな学校があるなとつくずく感じます)
指定校推薦の要項など重要書類は,スキャナーにかける際に片面印刷か両面印刷か確認します。
普通紙なら自動原稿送り装置を使えますが,冊子になっていると毎回開いて読み取ります。
重要書類なので読み取った後に,原稿自動送りで2枚送られていないかなど確認をします。
「学校内で一部の人しか情報を知らない」ということが起きないよう,データ化し共有します。
これが1週間に15〜20校くらい処理します。
逆にこの仕事は毎日あるわけではありませんね。
感想文は各クラス1つ選んで,学校便りに載せるので「読んで選んでくださいね」と担当部署に言われます。
メール対応は相手が業者さんだと,システムの保守をしてもらいたい,模試の申し込み,使っている教材に関する問い合わせなど。
校内では○○のデータを送ってほしい,協力して行う作業について「ここまで進んだので次の作業の先生は進めてください」などです。
学期中にゆったりと授業準備なんてできません。
ちなみに自分の場合,授業準備はできるだけ次の学期分の準備を,夏休みなど長期休みに済ませておきます。
たまたま忙しい日を例に出しているんじゃないの?!
決して忙しい日だけを紹介しているわけではありません。
日によってやることはいろいろで,他にもいろいろあります。
先生は忙しいと漠然と言われています。
なぜ漠然としているのか?
○○で忙しいと具体的に言える人が少ないからだと私は考えています。
毎日やる仕事もあれば,年に数回しかやらない仕事もあります。
片付けるのに数十分の仕事もあれば,何時間もかかるので数日に分けて取り組む仕事もあります。
何年も教員をやっていれば,「そろそろ○○をやる時期だな」と思い出します。
ただ,感覚的に思い出すので改めて網羅的に言葉にしようとしても難しいのかもしれません。
部活動も自主的な労働扱い
文字通りです。
これまでの話は,勤務時間内に頑張って仕事を片付けるつもりで書いてきました。
部活動は15時半なり16時なりに始まるので,活動時間の大半が勤務時間外に行われます。
管理職はこんな筋書きで話してきます。
○○先生は〜〜部の顧問です。部活動は先生が活動日を自主的に決めてください。生徒にとって良い活動量がいいですね。活動するからには自己や怪我に備えて監督してくださいね。もちろん顧問は帰宅してはいけませんよ。
管理職の言い分
部活動手当は放課後にどれだけ活動しても,月あたりの手当は数千円程度です。
教員側(労働者側)の問題
さて,先ほどまでは実情を書いていきました。
それでは,なぜこんなに忙しくなるのか?
教員側にある原因がある点を考えていきます。
自分のこだわりによって仕事量を増やしている
会社員の方は,就職活動時にあまりなりたくなかった仕事に就くこともあります。
教員は「なりたくてなった人」が圧倒的に多いです。
ゆえに,
と,いろいろやることを増やしてしまいます。
良いことなのですが,それで忙しくなり,他の人と一緒に進める仕事に弊害が出る先生もいます。
こだわりが強く,発言力のある教員が周りの教員の仕事を増やしている!
先ほど書いた,自分のこだわりを自分でやり抜くだけなら,自分だけの問題ならまだ良いのです。
困った先生は自分のやり方を他の先生にも強要する人です。
しかも,そういった先生に○○主任など役職がついていると,「業務命令」のように聞こえます。
極め付けは
〜をやったら生徒のためになると思う!!・・・じゃ,後よろしく!
のパターンです。
教科,顧問をしている部活動,担当している校務分掌,担任をしているクラスの生徒など,それぞれ負担は違います。
しかし,個々の教員が抱えていることを知らずに,「自分がやってきた正義をみんなにも!」という人は少なくないのです。
管理職,文部科学省側の問題
ここまでは現場レベルの話でした。
今度は管理職側に原因があることをお話しします。
「校長は命令していない」という体裁
学校運営に必要な仕事と教員が思っていても残業代は出ません。
というのも,教頭や校長は,現場の教員にこんな接し方をしています。
仮に,会社で管理職側と労働者に置き換えるとこのような形になるかと思います。
会社員に置き換えると,かなりコンプライアンス上まずいのでは?!と思っています。
(弁護士ではないので,正確なところはわかりませんが…)
でも,これが学校の日常です。
私立学校も残業代が出るところは少ない?!
公立は特給法で,公務員の給料に4%プラスにするから残業代は払わないよと法律で決まっています。
私立学校の教員は公務員ではないので,労働基準法に守られるはずなのです。
しかし,従業員(=教員)は守られていないのが現状。
業務ではなく,自主的な労働だよという位置づけにすることで全てokということがまかり通っています。
残業代なら時給換算の1.25倍を支払わなければいけませんが,それよりはるかに安い手当という形で済ませていることがあります。
タイムカードによる打刻はあってないようなもの
タイムカードによる打刻を取り入れている学校も多いです。
しかし,ほぼ有効性はありません。
先生方,これだけ学校で仕事をしているんですね。そんなに自主的な労働をして熱心ですね。
学校の管理職
はい,これで終わりです。
教員が多忙でも結局は他人事
おそらくこの辺りがブラックと言われる所以なのではと感じています。
それでもなぜ根本的な解決がなされないのか。
結局は他人事だからです。
この辺りはこの記事をご覧ください。
無理が続けば,持続可能な成長はできません。
今回の記事が学校の裏側を知るきっかけになって,日本の教育が安定的に良くなっていけばと願っています。
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