教員の給特法改正は十分なのか?企業の残業代との比較

学校の先生の仕事
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2024年4月20日のニュースで、教員の給特法は廃止されない方針がわかりました。

教員給与上乗せ 10%以上に引き上げの素案 中教審部会が提出 | NHK
【NHK】教員の給与のあり方や働き方改革を議論してきた中教審の特別部会は、残業代を支払わない代わりに支給している上乗せ分を、現在の…

うーん、これでは教員志望者は増えないな~と思ってしまいます。

今回は、企業の残業代と比べながら、どれくらい改善されているのか検証してみます。

この記事では、大まかな計算となっているので、実際の金額とは異なる場合があります。

大雑把にご理解いただけると幸いです。

この記事をおススメしたい方
  • 教員の給与に興味のある方
  • 教員になってみたいと思っている学生さん
  • 教員の新しい給与制度に興味のある方
  • 給特法の新しい案はどれくらい改善されているか気になる方
隣の芝
隣の芝

自己紹介

  • 非常勤+専任の私立教員歴は約15年!
  • 担任は10年以上経験! 修学旅行の準備・引率、大学受験の指導経験もあり
  • 教科は英語海外への引率経験もあり
  • 校務分掌教務、進路、広報、生活指導、生徒会を経験!

給特法とは?

給特法とは何か?

教育職員には、原則的に時間外勤務手当や休日勤務を支給しない代わりに、給料の月額の4%に相当する額を「教職調整額」として支給することが定められています。

寺子屋朝日 給特法とは? 成立の経緯や内容、問題点を専門家がわかりやすく解説

つまり、企業の「みなし残業代」に似た考えと言えるでしょう。

改正案もやっぱり「みなし残業代」よりやばい!

就職活動のときに「みなし残業代」の扱いになっているか注意してね、という話を聞きます。

みなし残業とは、一定時間の残業が発生した前提で、残業代を月々の給与に加算し支給する仕組みです。

マイナビ転職 みなし残業とは? 導入されている会社で働くメリットや超過分の請求方法

新卒で月給が20万円と求人広告に出ていたとします。

この20万円について、どちらが良いでしょうか?

  • 残業代15時間分を含んで20万円(15時間の残業までは追加の残業代なし)
  • 20万円+残業をした場合に残業代がつく

後者が良いですよね。

だから、求人広告を見るときに注意しましょう、という話を聞くのです。

ただ、企業等では「一定時間の残業」なので、その時間を超えると追加で残業代が発生します。

一方、給特法は時間を定めない「みなし残業代」と化しています。

ブラック企業

民間の残業代に置き換えて計算してみた

今回の改正案で教員調整額を10%以上にする案となったようです。

例えば10%で計算すると、月給30万円の場合、33万円となるはずです。

このケースで、以下のケースに当てはめて企業の残業代に当てはめて考えてみましょう。

  • 1か月の勤務日:20日
  • 1日の労働時間:8時間
  • 1時間当たりの給与:1,875円
  • 1時間当たりの残業代:1,875円×1.25=2,344円

この2,344円で、教員調整額にあたる3万円を割ってみます。

すると、12.8時間の残業までとなります。

1か月20日の勤務日としているので、

  • 1日当たり0.64時間(約38分)
  • 1週当たり3.2時間
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教員の実勤務時間は、残業代の中に収まる?

週に3.2時間の残業で業務は終わるのでしょうか?

高校で勤務すると、日中の固定された時間に次の仕事があります。

  • 授業:4時間
  • 朝と帰りのHR・清掃指導:1時間
  • 生徒との面談:0~30分

その他、空いている時間に、時間の許す限り事務仕事をやっていきます。

  • 担任として回収した提出物のチェック:0~1時間
  • 担任による生徒情報の整理(面談のための情報整理、指導要録・調査書の執筆など):0~2時間
  • 課題、小テストの作成、評価:0~2時間
  • 学校行事の計画・文書作成、時間割調整など学校運営にかかわる仕事:0~2時間
  • 部活動の練習計画、部費の徴収、連盟登録・公式戦申込:0~2時間  など

運悪く後回しにできない仕事が重なった場合や、

そもそも過重に仕事を振られている場合は残業となります。

大体、教員は8時~17時が勤務時間でしょうか。

部活動18時や18時半まで活動する学校が一般的です。

週に3日以上部活動をやれば、週に3.2時間を超えてしまいそうです。

部活動が週1回でも、事務仕事の量によっては、週3.2時間を超えてしまい、サービス残業となるでしょう。

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教員の給特法見直しは十分なのか?企業の残業代との比較のまとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

計算をしてみると如実に、足りていないことがわかりました。

お金もそうですが、教員の仕事をスリム化したほうがいいのかな・・・。

教員にしかできない仕事は教員がやる。

教員以外でもできる仕事は教員にやらせない

今は生徒・保護者・地域住民・学校の教員以外のスタッフが、こんなことを思っている雰囲気があります。

困ったときは先生に何とかしてもらおう

そこの意識改革が必要かな・・・。

この記事によって、日本の教育が持続可能なものになることへの一助になれば幸いです。

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