高校の比較でやっかいな表現ですよね。
特にこれらの表現には苦労しました。
そのまま覚えてもいいのですが、混乱してすんなり覚えられなかった思い出があります。
今日は理屈を理解して、もう忘れない、忘れても思い出せるようになりましょう!
自己紹介
覚え方のコツは「ツッコミ」を意識すること
結論を言うと、今、高校生が勉強しているこれらの表現の意味は、会話の流れによって生まれたものです。
ある意味、「ちょっと変わった表現へのツッコミ」が元になっています。
この辺りを解説していきます。
not more than / not less than ツッコミ度★☆☆
not more than / no less thanは、比較的ツッコミ度が低いです。
例文を使って説明していきます。
I have not more than 5,000 yen with me.(手持ちで、せいぜい5,000円があります)
まず、否定を取り除いて意味を考えてみましょう。
I have more than 5,000 yen with me.(手持ちで、5,000より多く持っています)
not more thanは、直訳すると「〜より多くない」となります。
「多くない」ということは、それ以上の数はありえないので「最大数」となります。
図で説明すると、こうなります。
よって、「多くとも、せいぜい(at most)」といった意味になるのです。
逆に、not less thanは、直訳すると「〜より少なくない」となります。
つまり、「最小数」となるので、「少なくとも(at least)」となるのです。
no more than / no less than ツッコミ度★★☆
no more than / no less thanはツッコミ度が高いです笑
会話をイメージしながら考えていきましょう!
I have no more than 5,000 yen.(5,000円しか持っていません)
こちらも、否定を取り除いて考えてみましょう。
more thanは直訳すると「〜より多い」です。
I have more than 5,000 yen.(5,000円より多く持っています)
これにnoの意味を付け加えてみましょう。
noはnotと意味が違います。
noの意味は0(ゼロ)です。
つまり、「〜より0(ゼロ)多い」となります。
例文の訳は、「5,000円よりゼロ多く持っています」となります。
「ゼロ多いって、全然多くないじゃん!〜しかないじゃん(only)」とツッコミたくなりませんか?
これが理屈になります。
no less thanはその逆です。
「〜より0(ゼロ)少ない」って、
「全然少なくないじゃん!思ったより多いじゃん!〜もあるじゃん(as much/many as)」となります。
no more … than / no less … than(クジラ構文) ツッコミ度★★★
no more … than
(1)A whale is no more a fish than a horse is.
クジラが魚でないのは、馬が魚でないのと同じである
江川(19913:176)
直訳は「クジラは馬が魚である以上に魚ではない」となる。ところが馬が魚でないことは常識的に自明であるから、当然クジラも魚ではないという意味になる。
江川(19913:176)
この説明に尽きますが、もうちょっと段階を踏んで説明してみます。
まず、比較の表現なので、比較する対象を確認しましょう。
A whale is a fish.
A horse is (a fish).
例文上ではa fishが省略されています。
クジラと馬、どっちが魚に近いですか?と比べてみましょう。
クジラですよね。
では、次にno more … thanを入れて例文の形にしていきます。
no moreは、0(ゼロ)分多くというのが直訳ですよね?
ということは、「クジラは、馬より0(ゼロ)分多く魚っぽい」ということになります。
そして、「0(ゼロ)分多く」というのは、「全然差がないじゃん!同じじゃん!」となります。
ということは、「クジラの魚っぽさが、馬の魚っぽさと同じ」ということになります。
クジラが0(ゼロ)多く馬より魚っぽいということは、クジラがより魚っぽくても、魚に近づけないことになります。
more a fish(より一層魚っぽい)の部分がno(ゼロ)になっているのです。
※通常の英語でmore a fishで魚っぽいという意味はありません。構文を解釈するための説明です。
ということで、魚では「ない」という、否定の表現になってきます。
そして、「馬が魚でないのと同様に、クジラは魚ではない」という意味になるのです。
no less … than
no less … thanは、no more … thanの逆なので、覚えるときに一から考えなくてもよいです。
ここから先は気になる方だけ読んでもらえればと思います。
(2)A whale is no less a mammal than a horse is.
クジラは馬と同じで、哺乳動物である。
江川(19913:178)
A whale is a mammal.
A horse is a mammal.
クジラと馬、どちらが哺乳類っぽいですか?
馬ですよね。
では、no less … thanを入れてみましょう。
「馬と比べて、クジラは0(ゼロ)だけ少なく哺乳類っぽい」ということになります。
0(ゼロ)だけ少ないって同じじゃん!
ということは、「クジラの哺乳類っぽさ」は、「馬の哺乳類っぽさと同じ」じゃん!
クジラはあまり哺乳類っぽくない(less a mammal)ですが、no(ゼロ)となっています。
※ここでも通常less a mammalであまり哺乳類っぽくないという英語はありません。便宜上の説明です。
哺乳類から遠のけないので、肯定の意味になります。
よって、「馬がそうであるように、クジラは哺乳類である」という意味になりました。
no more(less) than、not more(less) thanなどの覚え方のまとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
あれ?どっちだったっけな?と迷った時の参考になれば幸いです。
参考文献
江川泰一郎(19913)『英文法解説』金子書房. 東京.
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