学校では、
「状態動詞は進行形にしません。
ただし、例外的に・・・」
などと説明することがあります。
自分自身、大学・大学院で英文法(英語学)を学んで、普通に状態動詞も進行形でも使われることがわかりました。
自己紹介
状態動詞は進行形になると意味が変わる
状態動詞は進行形にならないのではありません。
「進行形になると意味が変わる」のです。
状態動詞がどのように意味が変わるかを説明する前に、そもそも進行形の意味は何かを確認しておきましょう。
進行形の意味がわかれば、状態動詞の進行形をより理解しやすくなります。
進行形の意味は3つある?
進行形の意味はなかなか一つに言い切れません。
主に3つの側面があります。
「動作の継続」「非完結」「一時的な状態」です(Cf. 柏野(1999:110))。
進行形の意味は、「動作の継続」
もっとも一般的な「動作の継続」の意味です。
つまり、「〜している」という意味です。
これは中学校の英語で勉強した通りです。
この「動作の継続」が1つめの意味です。
進行形は「非完結」の意味もある
動作の継続(途中)ということは、その動作は完了していないことになります。
「夕食を食べている」と言えば、当たり前ですが、夕食を食べ終えていません。
つまり、「動作の継続」を表すということの裏返しとして、「非完結」を意味します。
「非完結」が2つ目の意味になります。
非完結から、未来を表す現在進行形、be going toが生まれた
ちょっと英文法を勉強すると、現在進行形が未来を表すということも中学、高校で学びます。
この「未来を表す現在進行形」の元となっているのが、進行形の「非完結」の意味になります。
「まだ終わっていない」ことから転じて、「これからやる」「未来の動作を表す」ようになったのです。
be going toも同じです。
元はと言えば、「〜へ行っている、向かっている」がbe going toの意味となるはずです。
ここから転じて、「〜する方向へ向かっている」さらには、「〜するつもり、〜する予定だ」などという意味が発生しました。
進行形は「一時的な状態」の意味もある
さて、「動作の継続」は別の側面を持っています。
それは、「永遠に動作を継続することはない」ということです。
先ほどの例で言えば、「夕食を食べている」行為が永遠に続くということはありえません。
動作というのは、いつかは終わるのが自然です。
つまり、「動作の継続」の裏返しとして、「一時的な状態」と言えます。
3つ目の意味は、この「一時的な状態」です。
状態動詞はそもそも何なの?
状態動詞の特徴は?と聞かれると、一言では言い表しづらいですね。
いくつか特徴を書いてみましょう。
辞書で引くと「〜している」という意味が元々あることが多い
状態動詞は辞書で引くと、「〜している」という意味が元々ついていることが多いです。
ただ、例外もあります。
例外があるので、別の側面も検討してみましょう。
状態動詞は「継続時間のある状態」を表す
先ほどの例外、likeで考えてみましょう。
「〜が好き」な状態は秒単位で変わらないです。
それゆえ、状態動詞の特徴として「継続時間のある状態」を表すと説明することがあります。
しかし、完璧な説明とは言い難いです。
studyなどはどうでしょうか?
「〜を勉強する」と勉強し始めて、すぐに辞めることも、しばらく続けることもあります。
勉強をやるぞ!と決めたら、数十分は続けますよね。
したがって、この「継続時間のある状態」を表す動詞は状態動詞と説明しても不都合が生じてしまいます。
状態動詞は「始まりと終わりを意識しない状態」を表す
なかなか、一筋縄にはいきませんね。
状態動詞の特徴をもう一つ挙げると、「始まりと終わりを意識しない状態」です。
「〜に住んでいる」「〜を愛している」「〜に似ている」と言う時に、「始まり」と「終わり」を意識しませんよね?
自己紹介で「東京に住んでいます」と言った際に、いつから住み始めたかなど意識しません。
(いつから住んでいるか聞きたければ、「住んでいる」ではなく「住み始める」という表現をチョイスするはず)
状態動詞には、「始まりと終わりを意識しないくらい長く続く状態」を表すという側面もあります。
ただ、これもstay(滞在している)は、始まりと終わりを意識しやすいので、完璧な説明にはなっていません。
結局は単語を覚える時に状態動詞かどうかも覚える
ここまであげた3つの特徴は、状態動詞を見分けるヒントにはなります。
しかし、完璧に見分けられるわけではありません。
ヒントを参考にしつつ、結局は一つ一つの単語を覚える時に、単語の特徴として覚えていくことになりそうです。
状態動詞と進行形が組み合わさるとどうなる?
状態が一時的になるという解釈が多いかも
進行形には「一時的な継続」の意味があるとお伝えしました。
この意味からと状態動詞が組み合わさると以下の通りになります。
以前、ニュージーランドに滞在した時、滞在先のホテルを聞かれました。
その時に使われたのが、Where are you living?でした。
「一時的に親切」とはどんな意味か、それは「親切なふり」をしているということになります。
動作的、躍動的になる解釈
進行形は「動作の継続」を表します。
「動作が継続」するということは、実際に動作が行われており「躍動的」という意味に派生していきます。
淡々と「大好き」言うより、やや気持ちのこもった表現です。
また、more and moreをつけると、別の意味にもなります。
進行形の動的な側面から、「状態の変化」を表すようになりました。
同じ動詞でも状態動詞の意味でなければ通常の進行形になる
同じ動詞でも意味によって対応が変わります。
これは、先ほどの「状態が一時的になるという解釈」で説明できます。
しかし、以下の例は異なります。
ここでのhaveはeatと同じ意味なので、動作の継続を表す進行形として解釈されます。
同じ単語でも、意味で区別する必要があります。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「状態動詞は進行形にならない」とは言わず、一つ一つの例に沿った解釈が大切なのです。
参考文献
柏野健次(1999)『テンスとアスペクトの語法』開拓社
Leech, G.(20043)Meaning and the English Verb. Longman.
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