状態動詞の進行形を例外で教えるのは間違い!中学英文法で徹底解説!

英語を書いている少年 高校生への英語知識・学習法
この記事は約7分で読めます。

学校では、

「状態動詞は進行形にしません。

ただし、例外的に・・・」

などと説明することがあります。

自分自身、大学・大学院で英文法(英語学)を学んで、普通に状態動詞も進行形でも使われることがわかりました。

この記事をおススメしたい方
  • 状態動詞の進行形の例外がよくわからない中学生・高校生
  • 英文法で状態動詞の説明をする英語の先生
隣の芝
隣の芝

自己紹介

  • 大学院の修士課程を経て英語の教員に
  • 専攻は英語学時制、助動詞、進行形をなど中心に勉強しました
  • 非常勤+専任の私立教員歴は約15年!

状態動詞は進行形になると意味が変わる

状態動詞は進行形にならないのではありません。

「進行形になると意味が変わる」のです。

状態動詞がどのように意味が変わるかを説明する前に、そもそも進行形の意味は何かを確認しておきましょう。

進行形の意味がわかれば、状態動詞の進行形をより理解しやすくなります。

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進行形の意味は3つある?

進行形の意味はなかなか一つに言い切れません。

主に3つの側面があります。

「動作の継続」「非完結」「一時的な状態」です(Cf. 柏野(1999:110))。

進行形の意味は、「動作の継続」

もっとも一般的な「動作の継続」の意味です。

つまり、「〜している」という意味です。

これは中学校の英語で勉強した通りです。

この「動作の継続」が1つめの意味です。

進行形は「非完結」の意味もある

動作の継続(途中)ということは、その動作は完了していないことになります。

「夕食を食べている」と言えば、当たり前ですが、夕食を食べ終えていません。

つまり、「動作の継続」を表すということの裏返しとして、「非完結」を意味します。

「非完結」が2つ目の意味になります。

非完結から、未来を表す現在進行形、be going toが生まれた

ちょっと英文法を勉強すると、現在進行形が未来を表すということも中学、高校で学びます。

この「未来を表す現在進行形」の元となっているのが、進行形の「非完結」の意味になります。

「まだ終わっていない」ことから転じて、「これからやる」「未来の動作を表す」ようになったのです。

be going toも同じです。

元はと言えば、「〜へ行っている、向かっている」がbe going toの意味となるはずです。

ここから転じて、「〜する方向へ向かっている」さらには、「〜するつもり、〜する予定だ」などという意味が発生しました。

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進行形は「一時的な状態」の意味もある

さて、「動作の継続」は別の側面を持っています。

それは、「永遠に動作を継続することはない」ということです。

先ほどの例で言えば、「夕食を食べている」行為が永遠に続くということはありえません。

動作というのは、いつかは終わるのが自然です。

つまり、「動作の継続」の裏返しとして、「一時的な状態」と言えます。

3つ目の意味は、この「一時的な状態」です。

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状態動詞はそもそも何なの?

状態動詞の特徴は?と聞かれると、一言では言い表しづらいですね。

いくつか特徴を書いてみましょう。

辞書で引くと「〜している」という意味が元々あることが多い

状態動詞辞書で引くと、「〜している」という意味が元々ついていることが多いです。

  • live:住んでいる
  • love:〜を愛している
  • resemble:〜に似ている

ただ、例外もあります。

  • like:好む

例外があるので、別の側面も検討してみましょう。

好き
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状態動詞は「継続時間のある状態」を表す

先ほどの例外、likeで考えてみましょう。

「〜が好き」な状態は秒単位で変わらないです。

それゆえ、状態動詞の特徴として「継続時間のある状態」を表すと説明することがあります。

しかし、完璧な説明とは言い難いです。

studyなどはどうでしょうか?

「〜を勉強する」と勉強し始めて、すぐに辞めることも、しばらく続けることもあります。

勉強をやるぞ!と決めたら、数十分は続けますよね。

したがって、この「継続時間のある状態」を表す動詞は状態動詞と説明しても不都合が生じてしまいます。

状態動詞は「始まりと終わりを意識しない状態」を表す

なかなか、一筋縄にはいきませんね。

状態動詞の特徴をもう一つ挙げると、「始まりと終わりを意識しない状態」です。

「〜に住んでいる」「〜を愛している」「〜に似ている」と言う時に、「始まり」と「終わり」を意識しませんよね?

自己紹介で「東京に住んでいます」と言った際に、いつから住み始めたかなど意識しません。

(いつから住んでいるか聞きたければ、「住んでいる」ではなく「住み始める」という表現をチョイスするはず)

状態動詞には、「始まりと終わりを意識しないくらい長く続く状態」を表すという側面もあります。

ただ、これもstay(滞在している)は、始まりと終わりを意識しやすいので、完璧な説明にはなっていません。

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結局は単語を覚える時に状態動詞かどうかも覚える

ここまであげた3つの特徴は、状態動詞を見分けるヒントにはなります。

しかし、完璧に見分けられるわけではありません。

ヒントを参考にしつつ、結局は一つ一つの単語を覚える時に、単語の特徴として覚えていくことになりそうです。

状態動詞と進行形が組み合わさるとどうなる?

状態が一時的になるという解釈が多いかも

進行形には「一時的な継続」の意味があるとお伝えしました。

この意味からと状態動詞が組み合わさると以下の通りになります。

  • Where do you live?(どこに住んでいますか)
  • Where are you living?(どこに(一時的に)住んでいますか)

以前、ニュージーランドに滞在した時、滞在先のホテルを聞かれました。

その時に使われたのが、Where are you living?でした。

  • He is kind.(彼は親切だ)
  • He is being kind.(彼は(一時的に)親切だ)

「一時的に親切」とはどんな意味か、それは「親切なふり」をしているということになります。

動作的、躍動的になる解釈

進行形は「動作の継続」を表します。

「動作が継続」するということは、実際に動作が行われており「躍動的」という意味に派生していきます。

  • I’m lovin’ it.(大好きだ!)
    lovin’はlovingのことです。

淡々と「大好き」言うより、やや気持ちのこもった表現です。

また、more and moreをつけると、別の意味にもなります。

  • I’m loving it more and more.(私はだんだんそれが大好きになっている)
  • He is resembling his father more and more.(彼はだんだんお父さんに似てきている)

進行形の動的な側面から、「状態の変化」を表すようになりました。

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同じ動詞でも状態動詞の意味でなければ通常の進行形になる

同じ動詞でも意味によって対応が変わります。

  • I’m having a problem.(一時的に問題を抱えている)

これは、先ほどの「状態が一時的になるという解釈」で説明できます。

しかし、以下の例は異なります。

  • I’m having lunch now.(私は今昼食をとっている)

ここでのhaveはeatと同じ意味なので、動作の継続表す進行形として解釈されます。

同じ単語でも、意味で区別する必要があります。

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まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

「状態動詞は進行形にならない」とは言わず、一つ一つの例に沿った解釈が大切なのです。

参考文献

柏野健次(1999)『テンスとアスペクトの語法』開拓社

Leech, G.(20043)Meaning and the English Verb. Longman.

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