【英語の現在形の意味】高校生が陥りやすい勘違い!

勉強に混乱している人 高校生への英語知識・学習法
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英語の現在形というのは厄介だなと思います。

おそらく過去形や進行形,完了形に比べて,単純な現在形は用途がやっかいです。

そもそも名前が現在形なのに,今の動作・出来事のことを表さないことがまどろっこしい…

今回は現在形のコアな意味は何なのかということをご紹介します。

隣の芝
隣の芝

自己紹介

  • 大学院の修士課程を経て英語の教員に
  • 専攻は英語学時制、助動詞、進行形をなど中心に勉強しました
  • 非常勤+専任の私立教員歴は約15年!
この記事をおススメしたい方
  • 塾や高校で現在形のことは一通り習ったけど,頭の中で整理できない
  • 現在進行形が今の動作なら,現在形って何なの?と思っている方

おさらい。現在形って「今」のことをあまり表さない?!

現在形は,名前に「現在」と言っておきながら今現在の動作,出来事を表すことは少ないです。

まずは現在のことを言うときはどうするか復習していきましょう!

例文は平易なものは特に特定の文献から引用していません。

引用したものについてはその旨を記載しています。

「今」の動作や出来事を言うなら現在進行形が多い!

今の動作を表すには現在進行形を使いますね。

He is studying English now.(彼は今,英語を勉強しています)

もし,He studies English now.では「~しています」とはなりません。

強引に訳すなら「(見て見て)彼は今,英語を勉強するよ。(ほら勉強した~)」といったニュアンスでしょうか。

後で触れる「眼前の描写」や「解説の現在」と解釈することになります。

夜に勉強している男の子
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状態動詞なら進行形にしないで今の状態を表せる!

He resembles his father.(彼はお父さんに似ている)

I like icecream.(私はアイスクリームが好きです)

I live in Tokyo.(私は東京に住んでいます)

状態動詞は,すでに動詞に「~ている」という状態の意味が含まれています。

辞書で調べてもliveは「住んでいる」という表記も併記されています。

逆に辞書でstudyをひいても「~を勉強している」とは書かれていません。

アイスクリーム
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では,現在形って何か?一言で言うと,「確信度が高く,現実味を持って発話するときに使う時制」!

これは特別新しい説ではありません。

現在時制の本質的意味 <ある事柄が発話時において事実(fact)であるという話し手の判断を表す>

安藤(2005:91)

「事実であるという話し手の判断」の部分ですが,確信度が高く,現実味を持って発話できると言い換えられます。

事実でない恐れがあるなら,「~かもしれない」「~と思う」などの表現がくっついてくるはずです。

自信を持った女性

高校生向けの参考書には現在形の確信度とか現実味についてあまり書いていないので,ここでご紹介をと思いました。

この考えは,一通り現在時制の用法を勉強した後の方が納得いくかもしれません。

各用法を見ながら確認してみましょう。

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一般的な事実や真理

The sun rises from the east.(太陽は東からのぼる)

一般的な事実や真理は確実性が高いので,話者にとって現実味があると言えます。

現在の習慣

He studies English every day.(彼は毎日英語を勉強する)

継続的な習慣なら彼の行動は予想がつきやすく,これも確信度が高いと言えます。

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【寄り道】現在進行形は限られた時間の中での活動

He is studying English every day.((今のところ)彼は毎日英語を勉強している)

努力家でずーっと続いている習慣というわけではなく,彼は今のところやっているといった感じです。

変更不可能な未来の計画・事柄

This train leaves at seven o’clock.(この列車は7時に出発します)

I retire from work next month.(私は来月,定年退職になります)(Leech(20043:11))

電車の発着,公的行事など変更不可能な未来の事柄は現在形で表せます。

変更不可能なので確信度が高いと言えます。

【寄り道】他の未来表現との比較

will

一般的な未来表現の時に使います。

絶対に起こることでない限り,日本語で「~します」と言うときも,シンプルな現在形ではなくてwillを使います。

日本語で「~します」と言えば,英語でも普通に現在形を使うような印象を持ってしまうかもしれません。(自分が昔そうでした)

実際には起こりうる可能性も考慮します。

It will rain tomorrow.(明日,雨が降るでしょう)

He will fly to New York next year.(彼は来年ニューヨークに飛びます)

be going to

予兆などがあり,willよりも確信度がやや上がります。

It is going to rain.((暗雲立ち込めていて)雨が降ります)

現在進行形

be going toよりも確信度があがり,約束がある場合に使われます。

Martin is coming over for lunch on Sunday.(マーティンは日曜日ランチに来ます)(Leech(20043:33))

この場合,マーティンは勝手に予定を立てているのではなく,相手と約束が整えられていると言えます。

約束

では,現在形の解説に戻りましょう。

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時や条件を表す副詞節内の未来表現

If it rains this afternoon, I will not go for a walk.(もし午後に雨が降るなら,散歩に行きません)

時や条件を表す副詞節内は未来のことでも現在形になります。

受験参考書によく載っている項目ですね。

なぜ未来のことでも現在形かというと,以下のような説明があります。

「主節の内容が未来を表しているから,誤解のない限り副詞節にまで未来を表すwillを使う必要はない」

江川(19913:212)

もちろん,この立場での説明もできます。

今回は確信度の立場に立っても矛盾がないか検証してみます。

「もし~なら」という条件ですが,条件というのはその事柄が起こると前提になっています。

前提ということは確信度が高いと言えます。

ちょっと説明が強引でしょうか・・・(^^;)

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眼前の描写

目の前で起こっていることは,もちろん確信度が高いです。

よくスポーツの実況などで使われる用法です。

Adams intercepts, plays it up-field. (Football)(アダムスはボールを奪って,相手フィールドに持ち込んだ!)(Leech(19913:7))

サッカーのドリブル

解説の現在

劇の台本や,手順を表すときに使われます。

Now I put the cake-mixture into this bowl and add a drop of vanilla essence.(では,ケーキの素をボールに入れて,バニラエッセンスを一滴たらします)(Leech(19913:7))

動作が決まっているので,確信度が高いと言えます。

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歴史的現在・劇的現在

過去の出来事ですが,目の前で起こったような臨場感を表すときに使われます。

臨場感ということは,現実味があると言えます。

I was just falling asleep in bed when my wife rushes in shouting that the house next door is on fire.(ベッドに入ろうとしていると,妻が飛び込んできて,隣の家が火事だと叫ぶのです)〈途中から現在時制になっている〉(江川(19913:210))

ちなみにこの用法はずーっと現在形が使われるのではなく,過去形で始まって現在形に切り替わったりします。

個人的な印象になりますが,古舘伊知郎さんや阿部祐二さんが事件やエピソードを伝えるときのような臨場感に似ているなと感じています。

まとめ

現在形が確信度が高く,現実味を持って発話するときに使う時制ということを説明してきました。

現在形はネーミングと実情がかけ離れていますが,そういえば過去分詞もそうですね。

どうも形が過去形に似ているから過去分詞という名前になったとか…。

動詞の形は,過去形と現在分詞だけが機能に関係する名前になっているのかな。

最後,少し話はずれましたが,現在形について少しで理解が深まれば嬉しいです。

参考文献

安藤貞雄(2005)『現代英文法講義』開拓社. 東京.
石黒昭博(20137)『高校総合英語Forest 7th Edition』桐原書店. 東京.
江川泰一郎(19913)『英文法解説』金子書房. 東京.
Leech, Geoffrey(20043Meaning and the English Verb. Longman. London.

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