高校の時間割の作り方

時間割をそろえているイラスト 学校の先生の仕事
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学生・生徒さんは新年度に時間割を見て,「この曜日ハズレだ~」とか思ったりすると思います。

でも作る側はもちろん,「アタリ」「ハズレ」は意識していません。

そもそも,「月曜日は国語と数学の日」などとせずに,教科・科目をバラバラにしているかというと,そのほうが学習効率が高いからです。

同じことを集中的に勉強するより,間隔を空けたほうが定着が良いといわれています。

では,どのように時間割を組んでいるでしょうか?高校の時間割を作成する例をご紹介します。

隣の芝
隣の芝

自己紹介

  • 非常勤+専任の私立教員歴は約15年!
  • 担任は10年以上経験! 修学旅行の準備・引率、大学受験の指導経験もあり
  • 教科は英語海外への引率経験もあり
  • 校務分掌教務、進路、広報、生活指導、生徒会を経験!
この記事をオススメしたい方
  • 時間割の作り方に疑問を持っている中学生,高校生
  • 時間割作成の係になったけど,何から始めていいかわからない先生

各教科からの授業ごとの担当者をヒアリング

まず各教科からどの先生が,どの授業,どのクラスを担当するか申請があります。

それに基づいて時間割を作っていきます。

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時間割ソフトなどに条件設定

授業ごとに担当者,教室,クラス名をソフトに入力していきます。

どんなソフトがあるかについては後ほど触れたいと思います。

条件を入れたら,「コマ入れ」作業

どのクラスの,どの授業を,誰が,どこで,週に何回担当するか入力が終わりました。

その後は,どの授業が何曜日の何時間目にやるか,実際に時間割を作ります

この作業を「コマ入れ」といいます。

(ちなみに授業を数える単位は,1コマ,2コマといったりもします)

冒頭でも書きましたが,時間割は学習効果を高めるために,できるだけ科目が散らばる状態になっているはずです。

月曜日は英語,火曜日は国語,といったようにはなっていません。

ただ,こうやって散らばるようにコマ入れをしていく中でコマが入らないといったことが起こってしまいます。

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コマが入らない原因

選択教室などのバッティング

  • 選択教室,PCルーム,体育館など,同じ場所,同じ時間に2つ以上の授業を入れられません。

授業の場所がそのクラスのHR教室の場合,他のクラスと重なることはありませんが,選択教室等の場合は他クラスとバッティングすることがあります。

時間割ソフトを使うメリット

時間割を作る場合,時間割ソフトを使う学校もあれば,授業を一つ一つ紙のカードなどに書いて机に置きながら表を作成する学校もあります。

時間割ソフトを使うメリットは,もちろん条件入力後にボタン一つで自動で作成される機能があるということもありますが,残念ながらほとんどの場合すぐには完成されません。

後ほど触れますが,手動での微調整が必要になります。

時間割ソフトの最大のメリットは微調整をする際に,条件に違反した場合にすぐに教えてくれることです。

3種類の条件違反
  • 〈人の制約〉1人の先生が同時に複数の授業をできません
  • 〈場所の制約〉1つの選択教室で異なる授業を同時に実施できません
  • 〈時間の制約〉同じ時間に複数の授業を実施できません

カードで作る場合は,トランプの「7並べ」のように縦は上から,1年1組,1年2組,・・・と並べます。

横は月の1時間目,2時間目,・・・と全クラス分の時間割を作るようにカードを並べます。

このやり方でやると,カードを置いていくにつれて,同じ時間に1年1組と1年3組で同じ先生の授業を入れてしまうミスに気づかなかったりします。

また,「情報」の先生が複数いる場合,先生のバッティングは気付いても,同じ時間にPCルームを使う授業を入れてしまうこともあります。

こういったミスを防いでくれるのがソフトの良いところなのです。

選択教室の広さが異なる学校では収容人数のことも加味しなければいけません。

収容人数は実際に教室に行って,机・椅子の数が受講者数以上あるか目で確認しに行くこともあります。

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教員が授業をできない時間帯にコマ入れはできない

  • 1人の教員は同じ時間に別のクラスで授業はできません
  • 非常勤講師が出校できる曜日,時間帯に授業を入れます。
  • 土曜日に授業がある学校は,専任教員も勤務が免除されている日や時間があります。その時間を避けて授業を組みます。
  • 教員が昼食をとる時間帯として,昼休み前の3時間目,4時間目のどちらかを空きコマにします。
  • 1日に担当する授業数は3~4コマ程度にします。(授業準備や小テスト採点,専任教員は他にも部活動や校務分掌の雑務があるためです)

同じ人が同時に別の授業をすることは当然できません。

この場合も,時間割ソフトが自動でエラーを返してくれます。

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私立高校では経営のために非常勤講師を雇う場合がほとんどです。

昔は教員もある程度人気のある職業でした。

非常勤講師の期間は教員免許を取得したばかりで,専任教員になる前に経験を積む機会でした。

採用する側にとっては自校での授業に打ち込んでくれる,他校勤務のない方を採用することが多かったです。

または大学院に週1~2日通うので,その日だけは出校できないといった程度でした。

他のお仕事の都合等がないので,出勤日も融通が利きました。

今は教員があまり人気のない職業になってしまったので,採用する側も他校との掛け持ち勤務や家庭の事情により出校可能日が少ない人を採用せざるを得ないケースが多いです。

少し話がずれますが,必要な人数が集まればまだましで,本当に人が足りないと専任教員が規定コマ数を超えて授業を受け持つケースもあると聞きます。

また,昼休み前の空きコマですが,生徒の昼休みにも面談や巡回指導等があるので教員は休み時間になりません。

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授業の制約

  • できるだけ,1日に同じ授業を2回入れません
  • 調理実習のある家庭科など2コマ連続の授業はバラバラにできません。
  • できるだけ教室の移動をする授業が連続しないようにします。

できるだけ授業を散らばらせる方が学習効果が高いと言われているので,同じ授業はできるだけ日を変えます。

ただ,そもそも7単位(週に授業が7回あるということ)の授業は1日1回にすると1週間で収まりません。

その際はどこか1日2時間の日を設けます。

また,先ほど触れた教室や教員の条件が厳しい場合,5単位,4単位以上になると厳しくなってきます。

この調整が時間割ソフトで自動化できず,調整に時間がかかるところです。

また,一人で1クラスを担当する場合はシンプルですが,選択授業・習熟度別授業(クラスを分けて行う授業),ティームティーチング,授業時間内の会議になると話は別です

関係する教員の条件がすべて当てはまる時間に授業を入れられます。

例えば,講師Aと講師Bがティームティーチングをしていて,講師Aが火曜日に出校できず,講師Bが木曜日に出校できない場合は,必然的に月・水・金・土にしか授業を入れられません。

週5時間の授業でしたら,いずれかの曜日に2コマ入れなければなりません。

時間割は場所,人,時間,授業の条件のバランスによってなりたっている

このように時間割は教室,教員,時間,授業の条件(選択授業など)を考慮して作られています。

教員数が少ない,非常勤講師の出校条件が厳しい場合でも,選択教室の数が多かったり,選択授業がない学校(まず考えにくいですが)なら割と作るのは楽です。

逆に選択教室が少ない学校でも,人と勤務時間などに制限がない場合も苦労しません。

平日は6時間,土曜日は4時間にぴったり合わせるのも,当たり前のようになっていますが,大変な理由です。

大学や予備校,海外の学校のように,ある日は1日の途中に空き時間がある(その時間に生徒は自習をする)ということが仮にできれば,少し作りやすいでしょう

(やっている学校は見たことはありませんが)

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今は人が集まらず,学力や進学実績を伸ばす教育を求められ,もちろん学校の教室数を増やすことなんてできないので,時間割作りが厳しくなっています。

「物理的に入りません」というエラーが出た場合は,同じ授業でも2回授業を入れるなど条件を緩めたりもします。

また,使用教室を変えてみたり,担当教員に出校時間等の勤務条件を融通してもらえないかお願いしたりします。

いずれにしても,条件を設定してボタン一つで出来上がるものではないのです。

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時間割作成ソフトの例

ここまでお読みいただきありがとうございます。

最後にソフトの例をご紹介いたします。

時間割作成の係になった教員は2月下旬~4月上旬に授業,定期試験(作成,採点など),部活動をやりながらこのあたりの作業をしています。

※この記事は一例で,時間割の作成方法は各学校の実情により異なります。

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