職場でも義務化の障害者への合理的配慮とは |発達障害の実例を検証

合理的配慮アイコン 学校の雑学
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合理的配慮という言葉を聞いたことがありますか?

障害者の方へ、無理のない範囲で配慮をしていくという趣旨です。

学校での経験を基に、特に発達障害の合理的配慮について勉強していきたいと思います。

隣の芝
隣の芝

自己紹介

  • 非常勤+専任の私立教員歴は約15年!
  • 担任は10年以上経験! 修学旅行の準備・引率、大学受験の指導経験もあり
  • 教科は英語海外への引率経験もあり
  • 校務分掌教務、進路、広報、生活指導、生徒会を経験!
この記事をおススメしたい方
  • 合理的配慮について考えなければ…と思っている会社の人事、総務の方
  • あまり今までは考えたことがなかったけど、少し勉強してみようかなと思った方
  • 発達障害の方とのかかわり方を学びたい方

合理的配慮をめぐる経緯

障害者差別解消法により学校や地方自治体などでは、障害者の方へ合理的配慮をする法的義務がありました。

民間事業者はこれまで努力義務でしたが、法改正により法的義務となります。

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学校で考えられる合理的配慮

「合理的」配慮という言葉の通り、無理をして配慮することが趣旨ではありません。

例えば学校ではこんな実践例があります。

  • 頻繁にお手洗いに行く必要のある生徒は、教室内の出入口の近い座席にする
  • 他の人が視界に入ると精神的に安定しないので、座席を前にする
  • 急に指名されるとうまくしゃべれないので、次に問いかけることを予告する
  • ノートを取るのに時間がかかってしまうので、iPadでの撮影を許可する

どれも、すぐにできることです。

制服を着た生徒と女性の先生の授業

iPadはわざわざ準備するのか?と思うかもしれません。

最近はICT教育で一人一台iPadを持っています。

何も学校側がその生徒のために無理をして端末を準備する必要はありません。

では、職場に置き換えた場合のことを考えてみましょう。

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職場で発達障害のような人と働くことになったら

今回はこちらの本を参考にしてみました。

学校は生徒が教育を受ける場で、極端な言い方をすればお客さんのような立場です。

しかし、職場は立場が逆転です。

基本的には労働者は価値を提供し、給料をもらいます。

学校とは違った環境下なので、職場ではどうなるかということを考えていきましょう。

まず発達障害の事前情報や思い込みは禁物

先ほどの学校の例では、具体的な診断名を出さずに合理的配慮の例を挙げました。

「発達障害」という言葉が一般的になったからといって本人や周囲にとってよい環境が整ってきているとは限りません。注目度が上がった結果、レッテル張りが横行し、偏見を助長することにもなりかねません。

もし部下が発達障害だったら

障害の特徴に名前を付けると、名前によって特徴が分かりやすくなります。

一方、イメージが先行してしまうと軽度の障害であっても、大げさにとらえられてしまうこともあります。

医者

私はあまり障害の名前にとらわれないようにしています。

保護者は認めていませんが、特定の障害の特徴が表れているケースがあります。

本人や保護者からカミングアウトされても、他の生徒と大差ないケースもありました。

いずれにしても私は医師ではないので、診断のようなことはしませんでした。

先ほどのタイトルで「発達障害のような」という言葉を使いました。

というのも、発達障害かどうかを判断するのは非常に難しいのです。

本書にもこんな文章があります。

そもそも脳は、医学的な分類に従って存在しているわけではありません。

もし部下が発達障害だったら

誰にでもある程度の脳の機能の強弱の違いがあります。障害とそうでないところに、明確な一本の線を引くことはできないのです。

もし部下が発達障害だったら

暗記が得意な人、少し得意な人、暗記がやや苦手な人、ものすごい苦手な人

走るのが速い人、平均くらいの人、遅い

人の性格や特徴はいろいろですよね。

いわゆる発達障害と言われている特徴も、白黒ではなく、たくさんのグレーがあるのです。

新しく職場に迎える人が○○といった発達障害があると事前情報を聞いていたとします。

それでも、思い込みは禁物で改めてその人を知っていくつもりで向き合うのが良いかもしれません。

環境によって発達障害の特徴が表れやすさが変わります

発達障害の理解のポイントのひとつは、同じ人であっても、環境によってその特徴が色濃く出る場合もあるし、それほど目立たず、問題とならないことがある

もし部下が発達障害だったら

一対一だとよく話す人も、人前に立つと黙ってしまって全くプレゼンはできないという人はいます。

学校の成績は上位に入るのに、よく忘れ物をするという人もいます。

これらを得意不得意というものなのか、障害の有無によるものなのか判断が難しいです。

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こういった文章もありました。

苦手なことをカバーするために、後天的に身に着けた機能を「代償的機能」と言います。発達障害の特徴によって、なかなかうまくできないことがあった場合に、それを補うために独自に編み出し、獲得した自分なりのスキルです。

もし部下が発達障害だったら

他の人と同じように相手を知ることが大切です。

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合理的配慮についての職場でのケーススタディ

本書にはいくつかケーススタディが載っていました。

しかし、「職場は学校や家庭ではないので、そんなに丁寧な対応はできないよ…」という感想を持つかもしれません。

ここは意識を変えて、

  • こういったことまで必要なんだな
  • この中で「合理的に」できる部分だけやってみよう

と捉えてみてはいかがでしょうか。

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毎日のように遅刻をしてくる場合は?

毎日のように遅刻する社員への対応についてこんな例が書かれていました。

タイムレコードを見せながら、勤怠状況を本人ときちんと共有しつつ、たとえ5分であっても遅刻はいけないことであると伝えましょう。

[…中略…]

また、最初の面談のあと、次の面談の約束日時を明確にしておくことをお勧めします。一度は面談して注意はしたけれども、その後改善が見られないままズルズル…という状況に陥ると、結果的に「放置」という状況になる危険があります。

もし部下が発達障害だったら
遅刻するビジネスマン

最近は上司もマネジメントをしながら、自分もプレーヤーとして仕事をすることが多いでしょう。

そういった方にとって、本書のことを全てこなすのは難しいかもしれません。

できる範囲でやってみましょう。

報告・連絡・相談ができない場合は?

たとえば、定期的に15分間のブリーフィング(簡潔な情報共有・説明)の機会を持ちます。

[…中略…]

「定期的」の頻度は、本人の業務内容や問題の頻度などにより、本人と話し合って決めてください。毎日の場合もありますし、週に1回とか2回というような場合もあります。

もし部下が発達障害だったら

これも、先ほどと同様、毎日は厳しいかもしれません。

あくまでできる範囲でという形になるでしょう。

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発達障害と合理的配慮について考えてみました

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今回の記事で、本書の全てを紹介することはできません。

事例別の対応策も載っているので、気になる方はお手にとってみてはいかがでしょうか。

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